rayconte

流転の地球/さまよえる地球のrayconteのレビュー・感想・評価

5.0
超壮大SF「三体」のドラマ化も着実に進行しているらしいので、同著者原作の本作を観てみた。

太陽の急速な膨張により死の星へのカウントダウンが始まった地球。
人類は統合政府を設立し、地球を1万基のスーパークソデカエンジンで太陽系外まで運ぶ未曾有の計画を発足させていた。
物語は、計画のキモとなる宇宙ステーションに勤務する男と、彼が地球に残してきた息子の視点から描かれる。
原作未読なのだが(Netflixで映画作ったのに日本語も英語も未訳なのなんで??)、映画は基本的な設定や展開を踏襲した上で、登場人物やストーリーはオリジナルのものらしい。

最近ではハリウッドも席巻している中国資本とあり、スケールが桁違い。
画面の限りとにかく贅沢で、CGもセットもワンシーンたりとも手が抜かれていない。
シナリオ面では、中国人とロシア人の友情がよかった。ご存知の通り現代の中露関係はヒリヒリだが、絶対的危機に際して人類が結束し、ロシア人が中国人を「兄弟」と呼ぶ様はグッとくるものがある。

ただ、シナリオも映像も物量がエグすぎ、ついていくので精一杯で感情移入やら余韻に浸る時間がなく、数秒目を離したら話がもうわからなくなる。
とにかく急、急、急で緩がなく、早い早いちょっと待って!状態がラストまで続く。
家族ドラマとかアクションスリラーとか、売れ線ぽいところは一通り詰め込んであるのだが、密度が高すぎで、まるでビュッフェで取りすぎた料理を無理矢理腹に詰め込んでいる気分になる。
2時間の映画だが、エンドロールが流れる頃にはモンスターエナジーのロングが2缶空いていた。

これは作品の瑕疵というより、文化の違いじゃないだろうか。中国の家庭とかレストランってたくさんの料理でテーブルを埋めるのがおもてなしだし。
ただやっぱり、ひとつひとつをしっかり見せて欲しかった。
この物量を投じるなら、映画じゃなくてドラマにしたほうが断然いい。

「三体」はドラマシリーズなので、期待して待とうと思う。
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