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浅田家!のアー君のレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
3.7
写真家業界の芥川賞である「木村伊兵衛写真賞」を受賞した浅田政志の半生を描いた物語。

森村泰昌やシンディ・シャーマンに近い表現手法かもしれないが、浅田の撮り方には前者のようなアーティストとしてありがちなスカした感じはなく、自分を含めた家族を被写体に撮り、とても親近感があり何よりも面白い。

映画の内容としてキャスティングも良く、浅田を演じた二宮和也氏はGANTZの実写版(Filmarksでは未レビュー)の時から気にはなっていたが、役者として惹かれるものがあり演技は素晴らしかった。

これは批評とはいえない個人的な意見になってしまうかもしれないが、ストーリーとして東日本大震災の比率が若干ではあるが多すぎた印象がある。できれば最初に出版した「浅田家」の本は右からでも左からでも読むことができるユニークなデザイン加工なので、製作風景もデザイナーを配役した映像が見たかった。

また特筆すべきは出版社である赤々舎が作家性の高い写真集をメインにベストセラーを出し続けている事を忘れてはいけない。話は逸れるが映画では姫野社長と浅田との出会いは個展であるが、実際は浅田の知人による紹介で事務所を訪ねている。(映画としての脚色だから意味のない指摘ではあるが。)

この映画を見て写真家・浅田政志の作品や写真集を作った出版社である赤々舎について知りたければ、Amazonで購入ができるのでお勧めします。

〈参考資料〉
・ 写真集「浅田家」赤々舎
・「本をつくる 赤々舎の12年」産業編集センター
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