yukihiro084

ラストナイト・イン・ソーホーのyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.0
結局、2回観た。1回目は普通に観て、
2回目は答え合わせで。

面白かった。なかなか一筋縄では
いかない作品だと、観ている最中から
思っていた。

謎掛けのように現れる(ダイアナへ。)
ティファニーで朝食をのポスター。
007 サンダーボール作戦の映画館。
注文したのはヴェスパー。

前半は、ウディ・アレンの
『ミッドナイト・イン・パリ』のようで、
後半は、エメラルド・フェネルの
『プロミシング・ヤング・ウーマン』の
ようで(今作にピッタリなタイトル)、
M・ナイト・シャマランの
『シックス・センス』のようで、
(欽ちゃんの仮装大賞)ぽいところもある。

主人公が住んでいるアパートの大家さん
を演じているダイアナ・リグは、
007のボンドガールだった人。その意味。
謎の男を演じたテレンス・スタンプも
1960年代に(コレクター)で自分勝手に
女性に監禁する男を演じた。その意味。

映画はキャスティングから始まっていた。

今や人気女優になったジェマ・アーター
トンは、(007 慰めの報酬)の出演を
悔いている記事を読んだことがある。
自分の演じたキャラクターの決断は
誤りだったとも言う。
レア・セドゥも、私たちはボンドの
性的欲望を満たすためにいるわけでは
ないと言う。

今作には性的欲望を満たしたい
男たちがたくさん出てくる。

格好良く最後まで生き続けるボンドと
悲惨な死に方が多い007の女性たち。

中盤、映画は反転する。
迷宮の迷宮に彷徨い、これ以上になく
主人公が追い詰められたあたり。
メッセージ性が色濃くなってゆく。

ジェマ・アータートンはあの時、
ボンドにビンタでもして、
とっとと本部に帰ればよかったんだ。

さて、映画。

夢を追うことは、ソーホーの裏通りや
細い道に似ている。
薄暗く、簡単に迷子になりそうだ。

主人公が警察に相談しにいくシーンが
ある。聞く耳をもたない男性の刑事に
対して、ちゃんと向き合ってくれたのは、
女性の刑事だった。象徴的なシーンだ。

途中まで、ブリジット・フォンダの
(ルームメイト)みたいスリラーに
なるかと思っていて、いい意味で
裏切られた。

観客の視点となって、観客を迷宮に
誘ったトーマシン・マッケンジー。
時代のアイコニックになった
アニャ・テイラー=ジョイ。
強いインパクトを残した
マット・スミス。3人とも良かった。
序盤のダンスシーンや鏡のシーンは
見事だった。

光が強ければ強いほど、闇は深くなる。

光や憧れだけではなく、ちゃんと闇や
苦しみや痛みを描いていてよかった。

光だけだと、ほら、
人は迷子になるからね。
yukihiro084

yukihiro084