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シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のQvQのレビュー・感想・評価

3.8
こういうおじいちゃんは日本にもたまにいる。ポツンと一軒家みたいな番組でたまに見ることがある。自分で山を切り開きお家を一から建てちゃったりとか、裏山に巨大な仏像を彫っちゃったりとか。しかし、まあスケールが違うよね。その想いの純粋さ、成し遂げる不屈の精神力。能力やセンスもこの人、実は相当あったんじゃないかな。

人間の厚みってなんだろう。浅いなあと思われる人を見掛けることが多い昨今、こういう厚みというか深みのある人を見るとホッとするというか、こんな純粋さと奥深さのある人に私もなりたい、そして出逢いたいと思ってしまう。シュブァルはとても魅力的な人物、そして奥さんもなかなか大人で見る目があって素敵。彼が遭遇してきた苦しみや悲しみ、それを乗り越えた先にあった幸福。彼が先の短い妻に語った言葉がとても印象的だった。彼の最期は幸せだったんだろうと想像できる。映像もとても良かったけど、最後の場面は特に美しい。

とある地方の取り立てて語られることのないようなありきたりな人間のようでいて、こういう人こそが人類のお手本になりうるんじゃないか!、…なんて、観終わってから頭ん中で気持ちがだんだん大袈裟に昇華してったりして。

なんだか権力に固執する老人とか、豊かさにあぐらをかいてる人たちとか、たった一度きりの人生を刹那的にしか生きてない若者ばっかり見せられて辟易しているような今日この頃だけど、世の中にはこんなふうに深みのある人生を生きている人もまだまだいるだと思うと救われた気になる。

わたしはそういう人をたくさん観ていたいなぁ。今昔問わず、こんな人の話はもっと観たいし、その人の人生に想いを巡らせていたいです。
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