ましゅー

ミッドサマーのましゅーのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.3
この三連休中、最も観たかった作品。
2020年日本公開作品の中でも、早くも「最大の問題作」と言っても過言ではないレベルのトラウマ必至のこの映画。
ようやく昨晩レイトショーにて鑑賞です。
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正直寝不足気味で、2時間半近くの上映時間。途中寝落ちるんじゃないかという不安を抱えたままでしたが、そんな心配はどこへやら。最後の最後まで全く目を離せず、恐らく眉間に深い皺を作ったまま、体感的にはあっという間に鑑賞を終えたのです。
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………。
………。
これは…………。

「不安」「不穏」「不如意」
「奇妙」「奇っ怪」「奇習」
「狂気」「狂惑」「狂宴」
そんな単語しか浮かんできませんが…。

何しろフローレンス・ピュー演じる主人公の女子大生ダニーがそもそも精神的に不安定。
物語のっけから我々は不安と不穏の坩堝に叩き込まれるのです…。
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それにしても監督アリ・アスター。
彼はまともな精神構造の持ち主なんでしょうか?

間違いなく恐ろしく頭は切れるでしょう。
周到に張り巡らされた伏線。
このフリがここに繋がるのか❗
この◯にはこういう意味があったのか❗
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そして最大のポイント。

怖さを駆り立てるのは人類の有史以来、暗闇と相場は決まっていますが、舞台となるスウェーデンが白夜の時期という事も相まって、長時間にわたる「明るさ」の中で繰り広げられる、足下のおぼつかない「違和感」。

「奇妙」な「ズレ」と言ってもいいかも知れません。
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そもそも「常識」とはなんでしょう?
長年人類が積み上げてきた暗黙のルール。
日本人である我々が古来から持っていた美徳のようなものに、西洋から伝わってきたもっと合理的である意味個人主義的な考え方も、既に現代の日本では常識の一つとなって久しいでしょう。
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その常識が根底から覆されるとしたら、それとは真逆の行いを、ある意味我々からしたら「非常識」極まりない様を目の当たりにしたら、果たして私達は正気でいられるでしょうか?
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いや。これも、そもそもその「正気」ってなんでしょう?

「常識」があってこそ、その常識に合致した言動・行動をとるからこそ、人は正気でいられるのであって、それが揺らいでしまったら、それが全く違うものにすり変わっていたとしたら、まさに「狂気」と「正気」は紙一重なんじゃないかと。
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最後のダニーの笑顔がそれを象徴していたと、そう思うのです…。
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冒頭申し上げましたが、間違いなくこの作品「トラウマ」級。心身共に限りなく万全を期して臨まないと、この作品の「明るさ」に飲み込まれることは避けられないでしょう…。
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(公式HP・イントロダクションより)
明るいことが、恐ろしい

太陽と花々に満たされる祝祭の果ては、究極の恐怖と、未体験の解放感

長編デビュー作『ヘレディタリー/継承』が世界中で絶賛され、いまハリウッドの製作陣が”最も組みたいクリエイター”として注日しているアリ・アスター監督の最新作。恐怖の歴史を覆す、暗闇とは真逆の明るい祝祭を舞台に、天才的な発想と演出、全シーンが伏線となる級密な脚本、観る者を魅惑する極彩色の映像美が一体となり、永遠に忘れられない結末に到達する。前代未聞 の”フェスティバル・スリラー”がついに日本上陸!
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