ゲイリーゲイリー

フェアウェルのゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
3.0
命は個人のものという考えの西洋。
命は集団の一部であると考える東洋。
本作では祖母の余命宣告から、これらの死生観の違いが浮き彫りとなっていく。

私個人的には余命宣告を受けたなら隠さずに伝えてほしいが、祖母に嘘をついた彼らの気持ちも分からなくはない。
ただ、西洋と東洋で考えの違いがあるとしても、根底には祖母(ナイナイ)に対する愛情がそれぞれに見受けられた事がとても素晴らしかった。

死生観というものは人や文化によって違って当たり前で、その差異を否定せず受け止める事や理解する事が大切なのだと思った。

そしていくら家族や親族といえども多様性はあり、考え方や価値観も異なる。
(ましてやそれぞれが外国で生活しているのなら尚更。)
そこに苛立ちや煩わしさもあるだろう。
しかしそれでも心のどこかでは大切な人だと分かっており、彼ら彼女らの身を案じているのだ。
それを象徴する人物がビリーの母親だったと個人的には解釈した。
嫁姑間のイザコザや鬱陶しさ等もあったかもしれないが、それでも最後のシーンで彼女が見せた表情に感動した。

家族や親族、大切な人と長らく会えてない人に見てほしい作品。