タスマニア

TENET テネットのタスマニアのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
2020年186本目。

「一回では理解できない」と覚悟して
多少の時間逆行と物理学・量子学の内容を予習してみたけど
やはり理解度は50%ぐらい笑

いいんだ。何回も見にいくこと前提にしているし。
そういった意味で個人的には仕組みやルールの詳細が理解できなくても、映像表現とノーランが作ろうとしている世界それだけで、「何回も見よう」と思える出来だったと思う。
シンプルに「複数回見るのが苦痛な映画だったらどうしよう」って思ってたから笑

「インセプション」や「インターステラー」も難解な仕組みや、物語構造だけど、考察を深く深く進めると矛盾があったりする。
(少なくとも、考察サイトでそう指摘している人もいたし、それを読んで確かに自分も「矛盾だ」って思ったりしたから)
でも、ノーランは結構意図的にそこを許容して作ってんじゃないかなーっていうのが最近の自分の感想。
「愛」や「感情」みたいな不確実で明確に答えが出ないもので煙に巻く・・・って表現は不誠実だな。
科学的や理論的な構造を難解に表現することが真髄ではなく、物語の根底にあるのは常にエモエモなメッセージだったりするんじゃないかな。

TENET も時間逆行と順行の遭遇や、タイムパラドックス、ミッションの全容、各シーンにおける各人の行動、どの時間軸に人物か?という点など、色々論理的に考察したり整理したりするのもかなり楽しいと思うけど、
「世界を救う」「親友を救う」「一人の母親と息子を救う」みたいなめちゃくちゃシンプルでエモエモなミッションのお話みたいな捉え方でもいいんじゃないかなって思ったり。
まぁ、それがこの映画の解釈の全てにしてしまうのであれば、ノーラン映画がこんなに注目されるはずないんだけど。

詳細の内容や展開はこれから何回も見て整理していくとして
「無知は最大の武器」というのはとてもいいメッセージだなって思った。
このミッションが成功する上で大きな鍵を握るし、物語の結末のインパクトとしても大きな役割を果たす。
結果的に「TENET」という言葉の真意は10%ぐらいしか理解できていないと思うけど、ノーランはこの言葉自体も文字列の形で決めてるんじゃないかと思った。
特に「挟み撃ち」というワードが出てきた時に。
なので、「テネット」と表記することと「TENET」と表記することの間には天と地ほどの含みの違いがあるのでは。これは考えすぎか。

「知り合いにキャットを演じるエリザベス・デビッキに注目して欲しい」と言われたが、言われずとも夢中になってしまった。
美しく、弱く、強い母親だった。
ヒロイン像(?)としても結構インプレッシブ。

「主人公」は本当にいい意味でなんか輪郭がボヤッとしていた。
役名すら与えられない、役割すらハッキリわからない、それなのに物語上では間違いなく「主人公」である。
そんな主人公を演じたデンゼル・ワシントンの息子にも拍手。

やっぱり、SYNCOPY の文字列が出てくると無条件で興奮する程度にはノーランには期待している自分がいる。
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