演出が過剰なのがもったいない。佐々木蔵之介が暴れるシーンとか会社が嫌がらせされるシーンとかいやいやいやと思わず笑いそうになったほど。現実社会に住んでる人間はあんな行動で感情を顕にしたりしないだろ。登場人物全員感情表現の手段が、叫んだり喚いたり殴ったり暴れたりでしかないのがやばいと思った。大人なんだし静かな悲しみ、静かな怒りっていうのを丁寧に描いていたらもっとこの映画を好きになってたと思う。爆発しそうな思い、どうしようもできない怒りを抱えていても生きていくためには上手く抑え込んで折り合いをつけていくしかなくて、たとえ大好きな息子に裏切られても翌日には全部飲み込んでまるで何事も無かったかのように振る舞いながら仕事に向かわないといけない。それがどうしようもなく苦しくて辛いんじゃないのかな。あの一家みたいに、周囲に迷惑かけるような方法で怒りを爆発させてちょっとスッキリしたね、みたいなのは違うじゃんと思ってしまった。本当にもったいない。
テーマとキャストは素晴らしかった。もののけ姫見て惚れた田中裕子さんはやっぱりいつになってもかっこよくて独特なセリフ回しにとても引き込まれる。
