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デッド・ドント・ダイのましゅーのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.9
緊急事態宣言も全国で解除され、以前と同じ環境ではないものの各地の映画館も新型コロナウイルス感染予防の対応を万全にした上で、久し振りに営業を再開し始めました。
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本作は本来なら4/3から公開予定でしたが延期を余儀なくされ、約2ヶ月遅れの6/5より、ようやく満を持しての全国公開。
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劇場上映が再開されたらまずこれを観る、と決心していた私にとってはこの上ないご褒美。土曜はネット配信終了間際の作品を自宅で消化していたため、昨晩日曜にこれまた久し振りの自宅近くのシネコンで鑑賞です。
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ある程度の記事や予告編から勝手に、ゆるーい脱力系のゾンビコメディと想像していましたが………。
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なかなかどうして。
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・ゆったり気味の会話のテンポだったり、会話と会話に妙な間が挟まったり、ある状況を目の当たりにした何人かがほぼ同じセリフを時間差で繰り返し喋ったり、どこか普通と違う得体の知れない謎の人物の明らかに笑かしにかかる言動や所作などのゆるさはもちろん
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・一部の登場人物が「自身を物語の登場人物と自覚して発言したり行動したりする『メタ』的表現」も散見されるなど
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確かにコメディ的な部分もあるものの
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・意外とマジメにゾンビの恐ろしさ・怖さを見せたり(結構な数の死人が出ます😱)
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・故ジョージ・A・ロメロが、かの「ゾンビ」で物欲・所有欲・自己顕示欲や、漫然と消費を続ける現代人の惰性的な性向など、様々な煩悩を皮肉った事を最大限リスペクトしてか、本作のゾンビはその傾向が笑ってしまうくらいあからさまに描かれ(実際私は笑ってしまいました)
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・決してハッピーではない幕の閉じ方と共に、いわゆる現代的な生活や人間関係の有り様に対する、痛烈な批判と風刺の精神を感じ取ったのでありました。
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かと言って、肩肘張って観るものでもなく、時に笑いながら、時に事の成り行きにドキドキしながら、そしてママ出てくる小ネタや大ネタを楽しみながら

(ロードオブザリングとかスターウォーズとか。出演者だってイギー・ポップがいたり、私は名前は知ってましたが容姿は知らなかったセレーナ・ゴメスとか。ティルダ・スウィントンは、主要人物でありながら超ド級の大ネタでしたね😂)

まさにポップコーンとコーラを抱えながら、お気楽に観るのが吉ではないでしょうか。
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私は楽しめましたよ😁
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学生時代、深夜のテレビ映画番組で演っていたダウン・バイ・ローを観ようとして途中で撃沈してから、ジム・ジャームッシュに苦手意識がありましたが、充分に大人になった今だからこそ楽しめたってのもあるかも知れません。

他の監督作も観たくなったのは、幸運な副作用だったかも知れません😊
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(以下 公式HPイントロダクションより抜粋)

ホラー映画の枠を突き破り、ゲーム、コミックなどあらゆるポップカルチャーで扱われてきたゾンビは、今や社会学や哲学といった学問のテーマにもなっており、その増殖の勢いはとどまるところを知らない。

かつて『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』でヴァンパイア映画への偏愛を示したジャームッシュは、気心の知れた熟練スタッフと豪華キャストのファミリーを招集し、本格的なゾンビ映画の創造に挑戦。

その“超”がつく話題作『デッド・ドント・ダイ』は、奇想天外なまでにユーモラスな生ける屍たちがうようよと現れ、血しぶきならぬ人間のおかしみがあふれ出す一作となった。

日本でも大ヒットした『パターソン』でジャームッシュ組に加わったアダム・ドライバーが、「頭を殺れ!(KILL THE HEAD!)」を合言葉に、ライトセーバーならぬナタでばったばったと群がるゾンビを斬り捨てる驚愕シーンも炸裂。

まさしく誰も観たことのない、愛すべきオンリーワンのゾンビ・コメディ・ムービーが完成した。
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