滝和也

9人の翻訳家 囚われたベストセラーの滝和也のレビュー・感想・評価

3.8
5W1H
いつどこで誰が
何故に、どの様に?
をフルにつぎ込み
ミステリーの罠が
あなたを引き込む…

世界的ベストセラーの
最新作が人質に…

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

中々凝った志向のミステリーサスペンス。次々と謎の扉は開くが…果たして真実は何処にと言う王道ミステリー。かなり楽しめたのですが…如何せん後味が…。

世界的ベストセラーの最新作が世界同時発売のため、先行して翻訳される。集められた翻訳家は9人。豪華ホテル並みの地下シェルターへ閉じ込められ、通信は遮断された。だが…最初の10P がネットに流出。それをやめて欲しければ金を払えとメールが。慌てふためく出版社編集。犯人は9人の中にいる、誰がなぜ、どうやって原稿を流出させたのか…。

ミステリーの基本はフーダニット。つまり誰がであるが、その方法やどこでが問いただされ、謎解きは終わる。まぁ5W1Hが必ず出てくるはずでこの作品、まぁそれを幾重にも使ってストーリーが多重構造になっていて、中々面白い。

ただ…冒頭からずっと気になってたのだが、出て来ないものがあった。その1点が弱すぎて、返ってミスリードや出来事が気にならなくて…その答えが知りたくて堪らなかった…。と言う事はかなり楽しく見れたのではないかなとは思うものの何か引っかかる。

それは余りにもその部分で引っ張るが故に答えを知っても後味がとてつもなく悪い…。どうにもスッキリしない…。スカッとしないと言うか…。

ネタバレになるので詳細はコメ欄に書きますが…ミステリーとしてかなりテクニックよりの作品なのかなと。その技術を分断に使うため、主人公らしき人物に中々見ている側が同化できないと言う…弱点はあるんですよね。実際探偵役がいないので。探偵はある意味、観衆の目であり耳であり、分身ですからね。

とは言え…その幾重にも重なるミステリーは楽しかったですし、良作であるのは間違いないですね。フィルマで話題になる訳です(^^)
滝和也

滝和也