むぎちゃ

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのむぎちゃのレビュー・感想・評価

4.2
『誰』が『彼』なのか、『彼』は『誰』なのか、『誰』とは『何か』?

『誰』が『犯人』なのか、『犯人』とは『何か』、『罪とは何か』?

さあ、文学を愛そう。


サスペンスもの連続鑑賞一本目。
映画鑑賞が久しぶりなので大分エンジョイできた。文学もいいけど映画もね♪

ストーリーというか『本当の本筋』自体は古畑任三郎の一エピソードにありそうな、何でもないものではある。
あるが、何層にも重ねられた視点や物語がストーリーに厚みをもたらし、予想外の展開へ導かれる。

ミスリードにも邪魔な要素はなく、実にスッキリと整理整頓されて配置されているのが上手い。

物語の展開が大胆に進んでいくのもポイント。
この段階でもうこの展開?
ここまで来ていきなりこんな展開?
…と、観客が感じる『見応え』ってやつを丁寧に捕らえてくれる。
ここが本当に凄い。観客が想像しているであろう展開を見据えての見事な演出。

あの人が怪しいこの人が怪しいの連続だけではなく、この事件の本質とはなにかが霧の中から見えてくる頃にはもうスクリーンに前のめり。

終わるころには切なくどこかやるせない気持ちになる。
オープニングからエンディングの展開まで、とても好みな映画でした。
むぎちゃ

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