カルダモン

パラサイト 半地下の家族のカルダモンのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.7
19.11.07

渋谷ユーロライブにて試写会。お見事でした。ユーモアにしてシリアスなポンジュノ印の語り口が冴え渡る。今年は『US』にしろ『JOKER』にしろ、〈上と下〉のテーマを描いた映画がとにかく強烈だった。いろいろ書きたいけど、公開後、もう一度観た後に追記します。

鑑賞後、なんとサプライズでポンジュノ監督登場‼︎‼︎約30分に及ぶティーチイン&フォトセッション、ありがと〜‼︎‼︎‼︎
嬉ションしそうでした。


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20.1.26追記

新宿トーホーにて。公開から2週とは思えない盛況振り。韓国映画ポン・ジュノ作品でこんなにも人が集まるなんて。でも嬉しい。
試写会で一足先に拝見して以来2度目の鑑賞ですが、それでも興奮が止まらない。細やかで隙のない作り込み、カットの連続性に舌を巻いてしまう。改めて観てみると、まるでポン・ジュノの集大成的な作品だなという印象が強い。『スノーピアサー』や『吠える犬は噛まない』で描かれた格差や社会背景はもちろん、『TOKYO!』『殺人の追憶』などに使われた細かいモチーフの数々にも作品の関連が見られて楽しい(桃、ピザの箱、片方の脱げた靴、トイレ、犬など)。

高台の家族と半地下の家族。
窓から見える風景はまったく異なる。
同じ雨も水害になるし娯楽にもなる。
徐々に一線を踏み越える。
接点のないもの同士の接触、侵入。誰かが誰かに寄生しているのは、高台も半地下も変わらない。半地下のさらに下層までも。
ポンジュノが仕掛けた何重にも張り巡らせた仕掛けの数々に、ひたすら上下する感情の起伏。なによりそれが心地よく、極上の映画体験。

高きから低きへ流れる容赦のない雨。半地下の家は水没するが、高台の家族は知る由もなく、晴れた翌日には息子のためにホームパーティを開く。車の中で電話をしている奥さんが、会話の中で何気なく放った言葉、その瞬間のソン・ガンホの表情がなんとも悲しく、深い断絶を決定的なものにしていた。

ガラリと作品のテイストが変わり、自分自身がまるであのパーティ会場に放り出されたかのごとく、何もできず、自体を直視するしかなかった。物語はさらにもう一つの階層へ踏み込んで、父ギテクの行方と息子ギウが掲げた「計画」に衝撃を受ける。
まるで作品に登場する邸宅のような美しい構造物、それがこの映画に持った印象だった。
ポン・ジュノの底知れないエンターテイメント精神にリスペクト!