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イソップの思うツボのDickのネタバレレビュー・内容・結末

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

❶マッチング:やや消化不良。
➋解説によると:
①予算300万円のインディーズ映画ながら、口コミで全国公開へと拡大し、2018年の邦画興行収入ランキング7位31億円の大ヒットとなった『カメラを止めるな!(2018)』で監督・脚本・編集を務めた上田慎一郎、助監督の中泉裕矢、スチール担当の浅沼直也、の3人が共同で監督・脚本を担当し、3年以上の年月をかけて製作されたオリジナル作品。
②「イソップ寓話」の「ウサギとカメ」と「犬と肉(よくばり犬)」をモチーフに、3人の少女とその家族が繰り広げる奇想天外な騙し合い。
➌その結果は、『カメラを止めるな!(2018)』からの期待が大きかったこともあり、イマイチだった。
①題名の「イソップの思うツボ」と3人の少女の名前から、一応、「イソップ寓話」との整合性は取れている。
亀田美羽(石川瑠華/いしかわ・るか/21歳)=「カメ」、
兎草早織(井桁弘恵/いげた・ひろえ/21歳)=「ウサギ」、
戌井小柚(紅甘/ぐあま/19歳)=「イヌ」、
②観客の反応は3つに分かれると思う。小生はⓑ
ⓐイソップ寓話の概念が十分反映されている。
ⓑイソップ寓話の概念が反映されていると解釈出来なくはないが、苦しい。
ⓒイソップ寓話の概念が反映されていない。
③何れも正解だと思う。本作の描き方では、どの解釈でも出来ると思う。
④重要なことは、整合のある・なしではなく、作品として面白いかどうかである。
⑤本作は、アイデアが空回りして、実態がついていけなかったと思う。
特に種明かしに無理が感じられた。疑問点が多かった。笑えるべきところで笑えず、楽しめなかった。
⑥腑に落ちない例としては、「カメ」が大学の先生になった実の兄に恋する描写、「ヤクザ」が初歩的な銃の扱いをミスって反対に殺されてしまう等々、幾つもあるが、キリがないのでやめておく。
❹良かった点は、一応ハッピーエンドとなったこと。
❺一番残念だったのは、主人公たち素人に殺し合いをさせて、その実況を見て楽しむ、仮面をかぶった「富裕階級」のエピソードで、必然性が認められない。このような反社会的内容はフィクションでも取り入れて欲しくない。
①人が死ぬのを正体不明の観客が見るエピソードは外国には多くある。日本でも、『ライアーゲーム』や『カイジ』等がある。
②外国でも日本でも、死ぬ側(プレイヤー)はそのことを合意しているケースが大半である。
③本作では、プレイヤーは一部しか知らされていない。それが問題である。
❻トリビア:『よしもと新喜劇映画 商店街戦争 -SUCHICO-(2016日)』
日本でも、プレイヤーに知らせず、観客が殺人を楽しむ映画があった。
それが表記の作品で、過去10年間で最悪の反社会的映画だと思う。
①寂れた商店街を復活させようと、会長以下のメンバーが団結して取り組む。
②その手段は、商店街に来た客を拉致して殺害し、剥製にして、高額で売りさばく。そのライブ・オークションを世界にネット中継して、競わせる。
③会場に集まった若者や中高年の男女は、特別の集団ではない。普通のサラリーマンやOLや自営業の人たちである。彼等の目の前で繰り広げられる残酷な殺人ショーを、全員が楽しみ喜んでいる。殺される側のことは全く考慮しない狂気の集団となっている。こんなことはあり得ない、あってはならない。
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