タスマニア

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのタスマニアのレビュー・感想・評価

4.0
2021年3本目。

「あの人ともっと話しておけばよかった」
そんな風に思える青春の刹那のきらめきが詰まった映画だ。
少しのきっかけで、クラスの端っこともう一方の端っこの一番遠い二人が相手のために命をかけられるような親友になれたり、生涯愛するパートナーになれたり。
そんな、少しの思いやりと想像力と勇気だけで、互いをどんな存在にでも作り変えてあげられる可能性が尊くて、美しい。

とにかく、魅力的でパワフルなモリーとエイミーとクラスメイト達の魅力にメロメロです。

「スクールカーストなんて幻想だった」

この映画を通して伝えてくるそんなメッセージは、典型的ガリ勉で学生時代のスクールカーストの呪いにかかっていた自分には強烈なパンチラインだった笑

モリーが囚われていた強烈な呪いと暗示を見ていて、全然作品は違うけど「聲の形」を思い出した。
植野が硝子に観覧車で言った「小学校の時、私はあんたの理解が足りてなかった。でも、あなたも私を理解しようとしなかった」というセリフ。
互いを理解し合うことの難しさや、それによる思い込みとすれ違いは誰しもあるもので、そのすれ違いや思い込みから解放される体験は、遅ければ遅いほどインパクトが大きくて「あの人ともっと話しておけばよかった」という大きな大きな後悔とともに押し寄せる。

「学生時代の名もなきクラスメイトAは、本当はどんなことを犠牲にしても助けてあげたくなるような大切な存在になれたかもしれない」

そんな風に思った。

LGBT、個性の爆発、価値観・夢・進路の多様性。
勉強だけを頑張るんじゃなくて、「勉強以外も頑張っただけ」というのも強烈だね。月並みだけど「今しかできないことをやるべき」という先人の言葉に嘘はない。

ジジは恐らく神様笑
存在ともたらすものが神秘。
彼女の一人だけで個性と可能性と思いやりみたいなあらゆるものが詰まっていて、最高に素敵な存在だった。

それでも、推しメンはジャレッド。
対話と理解の不足による "誤解" を一身に背負った、すごく象徴的な存在だったし、彼が輝き、認められ、称賛される世界線は泣ける。

勿論、モリーもエミリーも素敵すぎる。
お互いを褒め合い、自虐と負の感情で繋がらない関係がベストでクール。
だからこそ、モリーの自虐に対するリアクションが最高なんだ。
みんな、もっと互いを褒め合おう。

とにかく、あの頃スクールカーストなんてなかった。
少しの理解と思いやりと勇気だけで、自分たちはどんな関係にでもなれたはずなんだ。
令和の少年少女にはそんな世界線を歩んでほしいな。
ということで、少年少女に見てほしい笑
タスマニア

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