うっちー

はちどりのうっちーのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.9
 大きな事件はあまり起きない、光を生かした美しい映像、家庭内の問題や嫌な空気の静かな描写、アンビエント的な音楽……途中で、不覚にも眠たくなってしまう。

 ウニの生きづらさ、寂しさはわかるけれど、なぜか共感できる度合いが、私は低かった。いちばん響いたのは、塾長の不用意さや塾を辞めさせられことをどやす親父にウニがイライラを爆発させたところ、あと耳付近の手術をしたウニを殴る兄のひどさ、あたりでしょうか。何度呼んでも応えないお母さんとのシーンでは、昔観た橋口亮輔監督作品を思い出してしまった。片岡礼子が話しかけているのをことごとく無視する無表情な父役の寺田農、たしか『ハッシュ』。憎しみよりも無関心をぶつけられるほうがキツイのだ。橋口作品はすごくすごく沁みたのだけど。好みではないのか、あまり胸に迫ってこなかった。なんとなく、全体的に薄味に感じられるからかな。

 ヨンジ先生(木村佳乃みたい)は素敵だけれど、存在が霞の様で捉えどころがない。ウニとの関係や交流、もう少し描いても良かったように思う。個人的には。
 ウニに告白した後輩が急に冷淡になった理由を、「新学期だから」みたいに言うの、スゴいと思った💦 親友の裏切りと言い訳なんかも。
 家族の、とくに兄姉の不義理は、それぞれに皆苦しんでいる故で(とくに兄)、それがわかるところ、また皆で事故現場に行くところは良かった。そういえば、なんとなく『スタンド・バイ・ミー』に似ている気もした。わかりやすいテーマや構造ではない部分が。
 もちろん、秀作には違いないけれど、あまり好きなタイプではなかった様です。
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