うどん

燃ゆる女の肖像のうどんのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.3
おススメされたことがあり、さらに皆さん高評価ということで、鑑賞。

どこを切り取っても美しい…!!

絵を描く筆や鉛筆の音、炎・風・波の音、息遣い……一つ一つの音がはっきり聞こえる、という私好みドンピシャの作品で、劇場で見なかったことを激しく後悔。

室内では、炎に照らされる部分とそうでない部分の陰影、現代には無いほの暗さと炎の暖かさが美しい。屋外ではどこまでも広がる海・岩・草原が眩しく美しい。まさに、作品全体が絵画のような美しさの結晶!!
女性の服装の質感が肌心地良さそうで、よく目を凝らすと見える模様が細かくてきれいだし、風の強い日にスカーフをさらりと巻く姿、広いおでこ・髪をあげることによって表れるうなじ…のように女性の美しさも際立っていた。

肖像画を描くシーンにて、私自身は美術にさっぱりなので、筆先で少しずつ様々な色を重ねていく様に、ほおーっと見入ってしまった。
その色重ねのように、次第に2人が互いを理解して愛を募らせ、愛を重ねていく様子が、いやらし過ぎず、絵画になりそう。

互いを見る目つきや視線の動き、エロイーズの柔らかくなっていく表情の変化、互いを観察し合う眼差しが印象的だった。
風景や人物描写のほかにも、夜の浜辺での歌、ラストシーンの曲があまりにも美しくドラマチックで、ドキドキした。劇中でサントラが流れることはなく、その時々の仕草や環境の音が聞こえる作りだからこそ、この2曲でハアアァッと息を呑み、心掴まれた。

ギリシャ神話と終盤の展開に絡めるつくり、好きです。とんでもなく濃厚な美しい作品で、大満足。
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