Kaoru

名もなき生涯のKaoruのレビュー・感想・評価

名もなき生涯(2019年製作の映画)
3.2
本当に本当に本当に信念を貫くと腹に決めた人って「何の意味があるの?」なんて考えないし問わないものなんだな。

貫いた人と、それを支えた人の崇高な物語。

白状すると、テレンス・マリック監督は『ツリー・オブ・ライフ』以来、少々トラウマがあったアタシ。でも、よく考えてみれば、この人は巨匠だし、おじいちゃんだし、若者にはわかり難い死生観や哲学を持っていて当たり前。もう、それは、あのとんでもなく美しい村の映像だけで全てが説明つく感じがした。

フランツの最期の日のあと、一層に村が綺麗に映ってしまうのは、かえって命の素晴らしさを見せつけられたような感じ。
フランツは命を輝かせるためにあの決断をしたのだと思う。皮肉なんだけれどもね。

何が正義で何が悪かの観念がはっきりしなかったこういう時代を経て、好き勝手なことを言える今があると思うと、敵味方関係なく昔の人たちには感謝しなくてはいけないなあと感じるわ。

この監督は示すことはしても、教えてくれる人ではないから、観る人を選びますわよ。ちゃんと自分で答えを見出せる人しか観ちゃだめ。
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