みっちゃん

レ・ミゼラブルのみっちゃんのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
4.0
「#レミゼではないレミゼ」

つらい、苦しい、恐ろしい、容赦ない映画だった。
いい話に好転する期待もむなしく。

エンディングに引用されるヴィクトル・ユゴーの
「レ・ミゼラブル」の中の言葉、
『悪い草も悪い人間もいない。
 ただ、育てる者が悪いだけだ。』
この映画を象徴している。

実際に起こったことが元になっているのだろうか。
ワールドカップサッカーで、フランスがエムバペを擁して優勝した年。
パリ郊外、移民系の多い犯罪多発地区が舞台となっている。
犯罪防止班の警察官までもが、まるでチンピラのようで、取り締まり方が横暴。
そこへ地方から異動してきた、穏やかで知性的な警察官が主人公なのだが、腰抜けのように扱われる。

ムスリム系の中でもいくつかのグループに分かれ、そこにロマの人々も加わり、みなが敵対心を持っている。
言葉を荒げて自分たちの言い分を主張するだけで、相手の言葉は聞かない。
いつでも暴力に発展する一触即発の状況にある。
そこで育った子どもたちがどうなるか。

暴動というのは、こんなふうに起こるのだろう。
のちに、それは革命と言われるんだろうか。
恐ろしかった。
今にも起こりうることとして、恐ろしかった。
みっちゃん

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