「#レミゼではないレミゼ」
つらい、苦しい、恐ろしい、容赦ない映画だった。
いい話に好転する期待もむなしく。
エンディングに引用されるヴィクトル・ユゴーの
「レ・ミゼラブル」の中の言葉、
『悪い草も悪い人間もいない。
ただ、育てる者が悪いだけだ。』
この映画を象徴している。
実際に起こったことが元になっているのだろうか。
ワールドカップサッカーで、フランスがエムバペを擁して優勝した年。
パリ郊外、移民系の多い犯罪多発地区が舞台となっている。
犯罪防止班の警察官までもが、まるでチンピラのようで、取り締まり方が横暴。
そこへ地方から異動してきた、穏やかで知性的な警察官が主人公なのだが、腰抜けのように扱われる。
ムスリム系の中でもいくつかのグループに分かれ、そこにロマの人々も加わり、みなが敵対心を持っている。
言葉を荒げて自分たちの言い分を主張するだけで、相手の言葉は聞かない。
いつでも暴力に発展する一触即発の状況にある。
そこで育った子どもたちがどうなるか。
暴動というのは、こんなふうに起こるのだろう。
のちに、それは革命と言われるんだろうか。
恐ろしかった。
今にも起こりうることとして、恐ろしかった。