ずっと観たいと思っていたが腹にずっしり来そうで躊躇してた。期待通り&不安的中のハイカロリー映画だった。
テイストに関わらず熱量を感じる映画って良いよね。とにかく見応えがあった。
移民を受け入れまくったフランスの今。馬鹿が買うようなフランス人(白人しかいないような国)かぶれのエッセイ本が好きな奴の感想が聞きたい。
それはさておき、まず新任のポマード君の存在が上手い。
あの村社会に翻弄されつつなんとか理性的に動けているキャラクターは、悪く言えば何の色味もないが、よく言えば観客の視点としての役割を充分に果たしている。
緊迫の中にもこの映画をある程度冷静に追えたのはポマード君の功績でもある。
パンパンに膨れ上がった怒りが爆発するクライマックスの様相は、上手いこと観客の感情のリズムにシンクロしている。
なによりラストカットがものすごく明確かつ引きのある演出で凄く良かった。怒りの炎はまだ消えず、あの膠着状態は現実でなお続いている。
取り返しのつかない一撃を撃つのか撃たないのか、取り返しのつかない一投を投げるのか投げないのか。
そして扉を開けて解決を先延ばしにするのか、扉を開けずいずれかの決着を迎えるのか。
『レ・ミゼラブル』とは『悲惨な人々』と言う意味らしい。
最後の一句が映画も現実も根幹を表しているし、現在に至るまで通用する事がまさしく悲惨である。
そうそう、最初の巡回シークエンス。
坊主リーダーがあれこれ住人の説明してる際、とあるシーンで画面端っこの女性が車内カメラに手を振っていたけどさ、あれってエキストラじゃなくてマジモンなのかな。
そういえばオープニングの街中も作中の低予算感から考えるとホンモンに思えてくるな。