おらんだ

あゝ野麦峠のおらんだのレビュー・感想・評価

あゝ野麦峠(1979年製作の映画)
3.2
富国強兵政策がとられていた時代、生糸は有力な外貨入手手段だった。その生糸生産の為に、劣悪な労働環境の中で働く工女達の姿を描いた作品。

「ブラック企業」どころか「3K」という言葉もまだ誕生していなかった時代の話。生糸工場にほぼ身売り同然の扱いで奉公に出された少女達は、茹だった蚕のさなぎの悪臭と強烈な蒸気の立ち込める中で、必死に糸を紡ぐ。そしてその中で、ある者は望まぬ妊娠をし、またある者は結核で肺を患う。女達の道具の様な扱われ方に胸が痛む。
凄惨な状況の中、工女達の健気さが光る。家族の為にと必死で働く姿が何とも居た堪れない。

初見は小5。担任から「こういう人たちのお陰で今の日本があるのだ」という前置があり、クラス全員で見た。
しかし約10才の少年少女には些か衝撃的な場面が多く、特に原田美枝子が半ば犯される様にして妊娠するシーンでは殆どが目を背けるか、覆うかしていたのを覚えている。
その後女子の間で「◯◯君はみてた」だの、「××君は女子の反応を見てた」だの噂をしているのを「可哀想に」と思い聞いていたのを覚えている。

得た教訓は、「この映画は小学生には向かない」という事と、「教材を間違うと大人でもめちゃくちゃ怒られる」という事。
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