tetsu

スペシャルアクターズのtetsuのレビュー・感想・評価

スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)
3.9
なんやかんや、上田監督作品は観てきていたので、今回もそれなりに期待して鑑賞。

緊張すると気絶してしまう役者志望の主人公・和人。
久しぶりに再会した弟の紹介で俳優事務所に入ることになった彼だが、そこは様々な状況に演技をして潜り込む一風変わった団体で...。

同時期に日本を代表するコメディ映画作家・三谷幸喜監督の新作『記憶にございません!』が公開されたことで、否が応にも比較されることになった本作ですが、僕は本作の方が断然好みでした!!

なんといっても配役が素晴しい!!
これは監督の製作環境にもよるとは思うのですが、背景にフジテレビがつき、かなり局からの制限を感じた『記憶に...』に比べ、本作では前作『カメラを止めるな!』同様、役者そのものに合わせてキャラクター設定が作られていることに好感を持ちました!

前作でも感じましたが、僕自身、上田監督は、いくらフィクションを作っても根本的には嘘がつけない監督だと思っていて、それは本作にも表れていたのではないかなぁ~と思ったり。
例えば、登場人物の名前を役者本人とそっくりにしていたり、キャラクターの設定と本人の雰囲気がピッタリだったりと、ほぼ無名の役者だからこそ出来るキャラクターとの絶妙な親和性が、作中でしっかりと輝き、作品を面白くしているのが印象的でした!
(あと、どうでもいいけど、出演者に新井浩文とカズレーサーいなかった?←ただのそっくりさん...。笑)

また、これはあくまで推測ですが、上田監督が純粋にコメディ映画を撮れるのは、対極にあるホラー映画が好きだから*なのではないかなぁ~と考えていて、例えば『ハングオーバー』のトッド・フィリップス監督が『ジョーカー』で一定の成功を納めたように、逆に上田監督が撮ったホラー映画を観てみたいなぁ~とも思いました!

*ゾンビ映画を題材にした『カメラを止めるな!』はもちろんのこと、その別バージョンとも言える短編『たまえのスーパーはらわた』では、主人公の自宅に様々なホラー映画のポスターを貼っていた。

というわけで、素晴らしい音楽にのせて繰り広げられるクライマックス群集シーンは楽しすぎて、何故だか涙が出てくる本作。
『カメラを止めるな!』に比べれば、作中の仕掛けは多少見劣りしますし、いまだ作品の低予算感は否めないですが、ぜひ『スティング』などが好きな映画ファンなどにこそ見てほしい一作でした!

P.S
監督のデビュー作を観ていると、クスッと笑えるシーンがあるので、時間のある方は僕の過去レビューから本編リンクに飛んでみてください。

参考
ka (@Decopachin)さんのツイート
「みんな!スペシャルアクターズ観てきたよ!👐...」
https://twitter.com/Decopachin/status/1178143775144599554?s=03
(本作の女優・津上理奈さんの友達によるツイート。無名役者ゆえの作品と観客の身近な距離感も、上田監督作品の魅力だと思っています...。)
tetsu

tetsu