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アイ・アム・マザーのYOKのレビュー・感想・評価

アイ・アム・マザー(2019年製作の映画)
3.8
人類が大量に滅亡しちゃった世界でAIが胎児の状態から人間を育て、産まれてからも育て教育し···って世界。めっちゃSF。

胎児が胎内でなく透明のボールの中で育ちパカっと割れて産まれるのなかなかにすごい。こっから先あまりにも少子化が進んだら有り得んじゃね?と思いつつ人権だの倫理だのなんだで難しそうな気もする。

胎児のストックが山ほどある中で生まれてきたのはヒロインだった1人。他の人間を知らない世界でAI(ロボット)の母親とただ2人で生活しているの、なかなかしんどそう。しかもヒロインに名前がなくて「娘」って呼ばれてるの、ひぇ!ってなったわ。名前くらいさぁ···あげよ???

戦争で人間が絶滅&外の世界は汚染されている、って体で驚く程に広いシェルターらしき施設の中で育ってきたヒロインが、外からやってきた負傷した女性と出会うことで「え?人間滅んでないんじゃね?」って疑いを持ちながら、負傷女性のセリフで「あ···これもしや?」ってこの映画の世界設定を予想しながら観ることが出来た。

アンドロイド(母)の走る姿があまりにも軽快ですげぇなぁとか、でもやっぱりロボットで表情がないからそこはかとない怖さがあるなぁとか、色々感じた。人間入ってんじゃね?って感じの動き、個人的には良き。

外から来た女性とママアンドロイドと、果たしでどっちが正しいのか。どっちの言っていることが真実なのか。何が嘘で本当なのか。ヒロインと同じく何を信じて疑えばいいのか分からないママ話が進んでいくの、怖い。

それでもやっぱり人を欺く理由を持つのってアンドロイドよりも人だと思うので、個人的にはずっと人間を疑って観てた。同じ血の通った人間って意味では人を信じたくなるのも分かるし、ママアンドロイドを疑いたくなるものも見つけちゃうからアレなんだけど、それでも私はアンドロイドを信じて観てた。みんなはどうなんだろ。

ってか、外から来た女性(名前わからん)って腹怪我してここに来たってことは少なからず外の世界は危険が孕んでるって事でしょ?なのになんでヒロインを無理やりにでも外に出そうとする?ってめっちゃ思った。

とても倫理な映画だったなァ。
なんだかんだママアンドロイドが1番良くも悪くも人間臭かったのでは。確かに人間目線で見たらやべぇことはしてたけど、結果的に話も聞いてくれるし味方でいてくれたし、なんか悲しいなぁ。

出会ったことのなかった人間と出会ったことでそれまで信じていた世界がぶっ壊れた娘のハイパー反抗期を見せつけられた映画だった。

とはいえ、嫌いな映画でない。ハッピーエンドとも言い難い上に、これから先上手くいくんか?娘はどうしたいんだ?と思わなくもなかった。

これまで人間のような衝動的な行動のないアンドロイドが管理していた再増殖計画が終わって娘の手に移行したことでどうなっていくのかなー。って感じ。

とても倫理だった。(IQ2)
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