ラウぺ

T-34 レジェンド・オブ・ウォーのラウぺのレビュー・感想・評価

3.8
戦車学校を出ていきなり戦車長として前線に配属されたイヴシュキンは善戦むなしく捕虜となり、ドイツ軍の収容所に送られる。ドイツの戦車兵の練成用に戦車乗員だった者は砲弾の積まない戦車に乗せられ、標的とされることになった・・・

聞いたことのあるストーリーは1965年のソ連映画『鬼戦車T-34』のそれ。
特に公式にリメイクとの表記はありませんが、物語のベースとなっていることは間違いありません。
オリジナルではT-34/76だったものが、本作ではT-34/85にパワーアップ。
基本的には戦車の活躍する戦争アクション映画なわけですが、乗員同士の絆、一緒に逃げるヒロインの存在、宿敵となるドイツの将校・・・王道を行く盛沢山な要素で娯楽に振り切っている潔さが単純な娯楽作品として気負わずに堪能できます。

序盤のT-34/76と3号戦車との戦闘場面は砲弾の軌跡をCGによるスローモーションで追い、装甲を貫通して車内で炸裂する様子を詳細に描き出します。
ここで登場するT34/76は実際に稼働する車輛を使っているように見えます。
2年後に収容所で演習に駆り出されるT-34は時期に合わせてT-34/85となり、これを再整備するところからが本番といったところ。
砲塔にオリジナルのマーキングを施し、乗員の名前などを描き込んだ姿は主人公の乗るマシンとしての押し出しも充分。
機動性のデモンストレーションとして戦車でワルツを踊って見せるシーンは、この戦車が映画の主役であることをしっかり見せつけてくれます。
演習地を脱出して宿敵との戦闘場面ではCGも活用されて部分的にチープさが漂う場面もあるものの、まあその辺はご愛敬のひとつといったところでしょうか。
宿敵イェーガーの駆るパンターは後半あっと驚く装備を搭載して闘いに挑み、末期のドイツ軍らしい演出にマニア心をくすぐられます。

多くの映画に登場するノロノロ動く戦車のイメージとは裏腹に、驚くような機動性能を見せつける映像とバリエーションに富んだ戦闘アクションはある意味で実写版『ガルパン』の趣といってよいでしょう。

荒唐無稽でマンガ的と思える展開もあったりしますが、「細けえことはいいんだよ!」という気持ちで楽しむことのできる作品だと思います。
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