タスマニア

ドリームプランのタスマニアのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
3.5
2022年26本目。

テニスのプロの世界のことはあまり詳しい方ではない自分でも知っているセリーナ・ウィリアムズ。
"女子テニス界の史上最高のプレイヤー" と世界で認識されている彼女を中心に据えたお話なのかと思っていたら、彼女には姉がいて、その姉のビーナスが物語の中心になっていて良い意味で驚いた。
まぁ、予告の段階で「え、本当は姉妹で、二人ともトッププレイヤーだったの?!」というのは知っていたけど笑
でも、そこにある事実をなぞるだけでも、偉大なサクセスストーリーやドラマが見えてくるようなお話だ。

彼女らを育て上げたリチャード氏の "プラン" に因んで「ドリーム・プラン」という邦題になっていると思うけど、「夢のようなプラン」という捉え方より「夢を実現するための(正確で綿密な)プラン」という感じ。
姉妹が生まれる前に考えられていたというそのプランは、リチャード氏にとっては至極合理的で、そのプランの実行がもたらす現在の結果は当然のことだったんだろうな。
そんな強い信念と自信を感じる。
「これだ」と信じたものを実現に近づける果てしない推進力は凄まじいと思う一方で、少しやり方が間違っていたら、少し結果が違っていたら「毒親の完全なエゴ」とも捉えられかねない・・・という意見もすごくうなづける。
というか、二人がテニスプレイヤーとして成功を収めた現在においても、彼のやり方に納得できない部分がある人もいると思う。
ここは「ファウンダー」という映画でのレイ・クロックに近しきものすら感じたもの笑
ただ、成功のために余計なことやものを合理的に排除するアプローチはいつだって異常であり、サイコパスと紙一重なのかもしれない。

ウィル・スミス良かったな。
近隣の白人の通報で警察が家に来た時のスピーチなんか特に。鬼気迫るものがあった。
ビーナス、セリーナを含めた娘たちを一流のテニスプレイヤーや弁護士や医師として育て上げる以前に、「人」として育て上げる教育するためのプランでもあるんだなって感覚。
そこには「ゲットー」という場所から、ドラッグや凶弾のリスクから、いち早く娘たちを遠ざけるための強い意志があった。
ここが、この話を単なる「アメリカンドリーム」として個人的に見れない部分でもあり、自分の環境からは想像できないエネルギーの源な気がした。
「窓」ではなく「正面玄関」から、成功の扉を開こうとする表現なんかまさにそれ。

とりあえず、事実が既に面白く、夢に溢れているので満足度は高かった。
個人的にワゴンを運転して、墓地を横切るときに「死者に挨拶を」の件めっちゃ面白かった。今度使いたい笑
あと、コーチのリックのキャラも最高。めっちゃ振り回されるやんって。
リチャードがカートに乗っているところも割と笑った。
このシーン見た後に原題の "King Rechard" を知ると、「あぁ、まさに King だな」って思った。
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