このレビューはネタバレを含みます
死に向き合えば何でも出来る、たらい回しもやーさんも何のその。
辞書を引くより分かりやすく、たらい回しを描いています。
雨が降ると下水が溢れ、この上なく汚なく臭い空き地を、綺麗にしてもらって、子供のための公園を作って欲しい。
そんな陳情に来たおばちゃん達を、行く先々の担当者は体よく追っ払って、違う部署に押しつけるのでした。
市民課
↓
土木課
↓
公園課
↓
受付
↓
衛生課
↓
衛生課環境衛生係
↓
予防課
↓
予防課防疫係
↓
予防課虫疫係
↓
下水課
↓
道路課
↓
都市計画部
↓
区画整理課
↓
警察署
↓
児童福祉係
↓
町の有力者
↓
次期市長候補の助役
↓
市民課....あっ、また戻ってますやん(;-_-+
何だか、似た光景は、聞いたり目にしたことがありますね。
同義語に、責任の擦り合いという言葉もありますねぇ。
さて、映画に正義のヒーローは付き物であります。
ただ、この映画のヒーローである渡邊市民課長の他と違うところは、末期の胃癌に冒されて、生きていられる残り時間が殆ど無いことです。
死に向き合うことで、生きるということを理解した彼は、文字通り、死に物狂いで、公園設立にむけて働き始めます。
この映画には、幾つもの名場面がありますが、私はやーさんと渡邊課長のやりとりが印象に残っています。
空き地を整備されると不都合な人間が、やーさんを使って渡邊課長に脅しをかけます。
「お前さん、大人しくしといた方がいいぜ。命がおしくねぇのか!」
この恫喝に、渡邊課長はニヤリと笑うのみ。
それだけで、やーさんを追い返してしまうんです。
生きようとすることは、何て強いことなんだろう、と驚かされるこの映画。
その強さの前には、たらい回しであろうが、やーさんであろうが何のその。
真面目な話、この映画を観た後は、生と死を素直に見つめ直すことが出来ます。
───以上、
10年以上前にブログに書いていた映画評から転記🤦