牛猫

ガリーボーイの牛猫のレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.3
スラムに生まれ育った青年がヒップホップと出会って希望を見いだす話。

貧困やカースト制度の息苦しさを感じさせる場面はあるけど、主人公の境遇がそこまで悲惨に見えなかった。大学に通えているし、一途で裕福な彼女もいて、息抜きできる友達もいる。もっと内なる炎を溜め込んでそうな人がいくらでもいそうで、そこまで感情移入できなかった。
心配してくれる彼女がいるのに平気で裏切るムラドにイラつくし、そんなムラドのためにつまらない暴力事件を起こすサフィナもどうかと思う。

しかし急激に成長する社会の中で、これまた急速に広がる格差を見せつけられると希望が持てなくなってしまうのも仕方ないのかも。

あの年頃の人にああいう歌詞のラップが刺さるのはなんとなく分かる気がする。
ヒンディー語の歌詞がラップになると意外と耳馴染みが良いのと、この映画に限ったことじゃないけど、こういう音楽が主題となる映画の日本語字幕を担当する人の労力って凄まじいと思った。

家の前と二階の窓辺から電話で会話する感じがロミオとジュリエットみたいだった。
身分違いの恋や、親との確執なんかもこの手の映画にしてはありがち。
ラップだけ責められるのは納得いかないけど、夜の街を徘徊してそこら中にスプレーで落書きしまくるのは完全にアウトだし、そういうのも引っくるめて諭してるのだとしたら親の言い分も分かる。

インドの現状を盛り込んではいるけど話は意外とシンプル。特に最後の方の展開は超王道。その分尺の長さが気になった。
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