メイプルわっふるG

ザ・ゴーレムのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

ザ・ゴーレム(2018年製作の映画)
3.5
17世紀リトアニアのシュテットル(小規模ユダヤ系コミュニティ)。異教徒村の暴徒に難癖をつけられ窮地に陥る。
ハンナの作り出したゴーレムは村の救世主となるか。それとも過去の惨事が繰り返されるのか。

ユダヤ教の伝承に登場するゴーレム伝説。それを忠実に再現したとの評判のシッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019作品。
シッチェスセレクトに(好みの)ハズレ無し。設定も世界観もどストライク。

ホラー仕立てのフォークロア。北欧(東欧)のどんよりした天候。17世紀の装束には異教徒のペストマスク集団も。
それに加え、排他的な村社会、歪な家族愛、虚偽と不義。
呪詛による疫病(言い掛かり)、勘違いから始まる暴動。
カバラ秘術、召喚、サイコキネシス。。

主人公ハンナの鬱屈と計画は、図らずも侵略者の脅威によってタガが外れることに。
秘術にまつわるシナゴーグ(ユダヤ教会堂)、72神の名、メルカバのコード、魔法陣など。この儀式めいた手順もよくあるファンタジーなのではなく、伝説に基づく忠実な再現なのだろう。
額に刻まれた文字や口の中の羊皮紙、行動原理などもしっかり伝承をなぞらえていて、監督・製作の真剣さがうかがえる。

そして今作にはラストのお約束があってとても満足。
中盤、多くの村人がモブ扱いだった中、わざわざ名前を呼ばれた少女アビゲイル。役割のある登場人物にはやっぱり名前が付くんだね。
…これで人違いだったらかなり恥ずかしい。。

現代ファンタジーでは無生物の門番や都合の良い従順ロボとして描かれることの多いゴーレム。もはや単語として独り歩きしているけれど、その大本が妖精や妖怪と同じような伝承というのはなかなか夢がある。
私がゴーレムを初めて知ったのは幼少時に見た水木しげる先生の妖怪図鑑?百科?だと思っていたのだけども。画像検索しても覚えのある絵は出てこない。自分の記憶にあるイラストは一体何なのだろう。


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2021.04.13 ひかりTV