メイプルわっふるG

ミッドサマーのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
留学生に誘われ夏至祭に参加する大学生たち。
面倒な性格でいろいろと重い彼女は何を思うのか。。
…なにわろてんねん。

北欧僻地の明るく美しい景観。民族的な音源に不穏な音響。ストーリーとともに視覚から聴覚から多角的にトリップしてゆく。
理屈どうこうでなく好き。情緒不安定にさせられるこの世界観。どっぷり浸りたい。ほ!は!

北欧紀行(偽)としても楽しめるので田舎ホラーや共同体(コミューン)の因習ものの中ではかなりヒーリングな"観賞"向き。『ウィッカーマン』のような焦燥に駆られることや『脱出』『変態村』のような直截攻撃を受けるようなものでもない。
だから一般向けとしても受け入れやすいのではと思いつつ、、、そこは監督アリ・アスター。

留学生の故郷へ訪問してからが本編とはいえ、序盤の淡々と積み上げられる厭わしさもなかなか。空気を悪くするの上手すぎでしょ。
悪意ではなく苦悩からの発露であるため、普通の人にも誰にでも起こり得る言動というところが素晴らしい。反面教師として逸材。

そう、悪意ではないから凄い。
例えば作中の彼氏クリス。友人の粗相で住民が怒り嘆いている場を眺めながらニヤニヤ。
完全に他人事。村への感謝も伝統へのリスペクトも。同行者がしでかしたことへの負い目も。迷惑を掛けたという意識がまったくない。ただ友人の失敗を見て笑っただけ。
その瞬間「あ、この人ムリ」ってなったというのに、普通の人すぎて当たり前の出来事すぎて。その事実が怖かったわ。
もう他の優柔不断やら軽佻浮薄、承認欲求、狂信者などはわかりやすいテンプレに見えてしまうほど。

おかげで胸糞作品の面白さと不快さの境界線を理解できたような気がしたり。
悪意が見える作品は"悪意のロールプレイ"が面白いのだと思う。『時計じかけのオレンジ』とか『ファニーゲーム』とか。
反面ささやかな描写でも不快になるのはドキュメントだったり事実を元にした作品だったりする。

とどのつまり、現実に勝る不快はないと。



■雑記メモ → コメ1
■人物メモ → コメ2

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