10円様

ザ・ハントの10円様のレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
3.6
「(アーカンソー)州のタバコは6ドルよ。このドジが!」

もう日本語字幕が上手くて最高でした。アメリカって州によってタバコ代が違うんですね。初めて知りました。
 更に調べてみるとニューヨーク州のタバコ代は14$もするらしいです!

何かと物議を醸し出し、意外に高評価な「ザ.ハント」をやっと観ました。
 監督のクレイグゾベルってどこかで聞いた名前だなって思ったんですが「コンプライアンス服従の心理」の監督だったんですね。ホラーともコメディとも取れるような妙な空気感。しかし緊張感は忘れずに盛り込んでくる演出に納得です。
 
 リベラリストが共和党支持者やレイシストを攻撃し、対極する二つの思想がぶつかり合う様子を描いた風刺映画であるとか、それをこの様な形で表現するハリウッドこそが真のレイシストであるとかと、メディアや大統領が流布していたようですが、社会派として観ればヤケにズレているなという印象です。制作者サイドは風刺の意図は無いと言っていましたが、ものの見事に風刺映画になっています。しかしこれを風刺だと言って宣伝する方がおかしな作りになっていて、それよりも単純にホラー、サスペンスとして観た方が正解の類いの映画である事は間違いありませんね。だってブラムハウスですよ。

 それもそのはず、観客を驚かせたいといった監督の意図がとても伝わってきて、まず序盤で誰が主人公で誰が中核役で誰が犠牲者なのってのが分からなくなり、気付けばあっという間に登場人物が限定されてきます。しかもそこでのゴア描写等にも拘りが観られ、この人をどうやって死なそうか…って思惑が感じられる箇所が多々見受けられます。そして、逃避行劇に入ってからの「誰が味方で誰が敵か…」ってサスペンスのお手本のような設定が、使い古されたものながらも引き込まれました。
 狩る側が徐々に狩られる側になり、復讐を成し遂げた時の爽快感ってのは実に分かり易いくて良いですね。

 今作の主演のベティギルピン。初めて知った女優さんですが、とても役に合っていたと思います。そして顔見せと名前貸し程度かと思いきや、意外と出番が多い悪役のヒラリースワンク。一昔前だと彼女こそが狩られる側の主人公になりそうな感じですね。それ程この二人のオーラは似ています。
 ヒラリースワンクは男らしい役柄が似合う女優さんだし、ベティギルピンは女子プロのドラマにも出ています。流石にこの2人のガチンコバトルは迫力がありました。少しコメディ入っていましたけどね。
あとこのシーンでも字幕のノリの良さは健在でした!
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