じょにー

ザ・ハントのじょにーのレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
4.6
これ、主人公は誰(whoではなくwhich)かっていうと、もしかして誰でもなくって、みたいなことが言いたいのかな・・・?

こういう思想トッピングマシマシの映画って、深く考えてしまうと何が何へのカウンターで、それが皮肉なのかマジなのかわからなくなってくるから考えずに見るくらいでいい。
実際アクションスリラーとして見ても、序盤は人間ハントのゴア描写を踏まえた二転三転、中盤は物語の真相で翻弄し、終盤はラストバトルをきっちりキメられて2時間があっという間だった。
つーかあらゆるバイアスになびかず進撃する主人公、うだうだ悩んでる隙がなさすぎて最高。

IQが徐々に下がっていった気もするけど笑、ときおり鋭い刃を突き出すことを忘れない姿勢がまたクール。主語を大きくしておきながらやることが個人への攻撃という流れがこれまた皮肉が効いてるしラストはタイマンというカタルシスの収束させ方が好き。

質量と痛みの伴うアクションもかなり満足感あるし何より、物語なりの芯を通すことで決してロジカルだけのちょこざい映画にもエンタメだけのお騒がせ映画にもしてないのがこの作品のすごみ。
さりげなくて話の肉付けの邪魔をしてないし、終わり方からしても主人公が"どちら"だったのか、それはなぜか、見た人の数だけ解釈が生まれそうでおもしろい。上質な映画だと僕は思う。

ところで「国の2極化を煽る」って、これで煽られるのはその「極」にいる人なのでは?なんてね・・・。
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