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ソー:ラブ&サンダーの群青のレビュー・感想・評価

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
3.5
2022年劇場鑑賞9作目。
字幕で。


インフィニティサーガでキャプテン・アメリカとアイアンマンは有終の美を飾ったが、ソーだけがBIG3の中で唯一活動を継続することに。思えば彼の紆余曲折は演じるクリス・ヘムズワースの成長と共鳴していたように思える。

デビューを飾った第一弾ではまだ駆け出しの俳優。スター・トレックに重要ながらチョイ役だった彼には大きな抜擢だった。
ケネス・ブラナーによる舞台劇と現代のコラボによるギャップコメディという方向性は間違っていなかったものの、ソーというキャラは確立というところまで至っていなかった。
続く第二弾でもそれは変わらず、仏頂面から外れることもなかった。
キャラを確立させたのは第三弾の前作バトルロイヤルだった。
タイカ・ワイティティの徹頭徹尾ギャグに振り切りつつ、北欧神話からスペースオペラに舵を切ったのはガーディアンズの成功が主な背景ではあるものの、彼らとはまた違ったコメディで成功。

BIG3でRDJは本人の演技力も相まってトニー・スタークを最初から好演。もう一人のキャップのクリス・エヴァンスは監督に恵まれ第二弾で一気にトップキャラとなったが、クリス・ヘムズワースが演じるソーがどうなるかを描くには4作目が必要だったのは必然だといえる。

満を持しての第4弾はまずもってロゴとタイトルが最高に景気がいい笑
家庭科で作成するナップサックのラインナップに出てきそうなダサいフォントで、ラブ&サンダーという身も蓋もないストレートさ笑
そして主題歌はこれまた絶妙なガンズ。ザ・80年代を地でいくスタイル笑

バトルロイヤルを引き継ぐスペースオペラをやりつつコメディさはかなりアップ。
まず無駄遣いというべき豪華俳優陣によるソーシリーズの寸劇笑
お前らサノスの襲撃を逃れてたんかい⁉︎笑
因みに今回はバトルロイヤル。ということはヘラ役が出てくるのだが完全に出オチである笑

ちょい役ではまさかの短編に出てきたダリル。指パッチンでは消えたが新アスガルドにで職を見つけたようで良かった笑

ポスターに堂々と出てくるヤギ2匹は大事なシーンでも後ろめええええってけたたましいのがマジで笑える。完全に天丼扱い笑

極め付けはまさかのストームブレーカーの擬人化ともいうべきキャラ付け。まさかソー×ジェーン×ムニョムニョ×ストームブレーカーの四角関係が観れるとは思わなかったぜ!笑
ソーがムニョムニョを持つ度にに、カメラ外からそろそろとインしてくるストームブレーカー、萌えすぎである笑

多様性もしっかりしててヴァルキリーは女性を口説くし、コーグの種族は男性同士でも子を設けられるというのは凄くいいし。宇宙の向こうでは性は関係なく子を設けられって凄く救いがある市のその当たり前さを当たり前に出すのが本当に良かった。

ダークワールドのテイストが好きだったのは本当で、正直バトルロイヤルでの舵変更に戸惑ったがそういうもん、というのを経ての今作はしっくりきた。今バトルロイヤルを観たらまた感じ方が変わるかもしれない。


ここまでコメディについて触れたけどストーリーは結構ヘヴィ。いや、ガンズはヘヴィなんだけどさ笑
のっけから今回の敵であるゴアの境遇に感情移入しっ放し。子供ができてからというもの、ああいうのに弱い…
繰り返し描かれる、神はいないし神はいてもそういう存在ではない、というのは何かしらのメッセージなのだろうか?
ゴアが切望した神もソーが中盤訪れる神の国の長も、およそ人間が夢想する神とは遠い存在だった。

また、ソーは戦うことを一旦やめ、ジェーンは劇的な変化がある。
ジェーンがムニョムニョを持つことと、ゴアがネクロソードを持つことは鏡像関係になってはいるが使い方は真反対。

ソーはジェーンの境遇の変化にどうするのか、今一度俺はどうしたい?という自問自答に駆られる。
そこから見出す答えは激情に駆られ思うままサノスの首を切った彼とは全く違う。
戦いに身を投じてきたソーが選んだのは紛れもない愛だった。
ここの選択は素晴らしく美しかったと思う。

ラストも完璧。コーグのモノローグが誰に語りかけていたのかも含めて完璧。
ラブ&サンダーの副題はまさに文字通りだった。
MCUは最近湿っぽいのが多かったからこういうのがないとね!
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