great兄やん

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.8
【一言で言うと】
「永遠なる“守護者”」

[あらすじ]
アフリカの秘境にあるワカンダ国には、平和な日々が訪れたかに思われた。だが、若き国王ティ・チャラを失ったワカンダである事件が起きる。遺されたティ・チャラの妹シュリ、母親ラモンダ、国王親衛隊を率いる女性戦士オコエらの前に、新たな脅威が現れる...。

癌によりこの世を去った“国王”こと、チャドウィック・ボーズマンa.k.aブラックパンサーを喪に服し、かつ新たなる“脅威”、“確執”、そして“継承”を162分間かけ描き出した個人的大傑作。

世間での評価は期待性の高さの割りにMCUならではの面白さのクオリティが低いなどという齟齬が生じているが、そんな評価など所詮“戯言”同然。自分は絶対的な主役を亡くしてもなお、この続編を作り上げ劇場公開へと至らしめた製作陣の“意思”に敬意を表すべきだと思いますし、実際主役代行などせずにここまで感動的かつ重厚な作品へと仕上げたのが何よりも凄いことですよ...

とにかくMCU作品史上最も暗澹かつ鈍重なストーリーと言っても良いくらいで、従来のラフな緩さは一切なく終始悲壮感が立ち込めていたが、だからこそティ・チャラ国王が如何に絶大な存在だったか、その“喪失”を深く抱えると共に観ているこちらもその残された者の抱く“心痛さ”がリンクしてしまうほど😫

ただそんな中でもMCUならではのユーモア溢れる展開を少なからず描いていたのが本当に良かったですし、特にシュリとオコエの掛け合いが一番笑った笑。あのオコエがイジられキャラとして場を賑やかしていたのがなんだか意外でしたね😁

それにアクションシーンの見応えはバッチリで、前作同様キレッキレアクションの見映えといい迫力も半端なかったですし、なんと言ってもあのスタイリッシュな戦闘シーンに観ていて惚れ惚れするばかり。
それから脅威的な立ち回りをこなすタロカンの王ネイモアの強靭さにもハラハラさせられますし、ただ強いだけでなくネイモアなりの“正義”を最後まで貫く姿勢に従来のヴィランの中でもかなりの奥深さを感じました。

とにかく失われし“守護者”の継承について描きつつ、敵と味方、互いに“守るべきもの”に対し命を賭けて戦う姿に心が震える、故チャドウィック・ボーズマンの“手向”としても、新たなる“前進”としても胸に突き刺さる最高の一本でした!!

今作のテーマはまさに“ヒーローとは何か?”というものであり、ヴィランであるネイモアは果たして単なる“ヴィラン”だったのか?…などの単純な勧善懲悪ではなく、ヒーローとしての存在意義をも問われる重厚な作品へと仕上がっている。

そしてその存在意義の“葛藤”を乗り越えた先の“継承”はまさに胸熱でしたし、エンドクレジット後のあのシーンはマジでエモーショナルそのもの。メチャクチャ泣きましたね😢...

今作はまさにチャドウィック・ボーズマンの“慰霊碑”でもあり“餞(はなむけ)”でもある。

我々の心に、彼を忘れないためにも...