むぎちゃ

ルース・エドガーのむぎちゃのネタバレレビュー・内容・結末

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ベッドや枕のシーツが真っ白なのは黒人差別!


いちいち目の前の出来事に激昴したり狼狽したり泣いたり笑ったり…
両親の愚かしさに終始呆れるばかりだったが、結局はいくら金や時間を費やしてあげても黒人を芯から理解して信じて守ることは出来ないんだね、て事ならあの愚者ぶりも頷けてしまうな。
「信じよう…」ホロホロ→「あながやったのね!?」ムキーの繰り返し。何回やんねん。

特にエミリーが良くヒステリックに言っていた「あなたどっちの味方なの!?」。
あのさ、味方ならどんな悪事も見ざる聞かざる言わざるになるって言っているようなもんだよね。本当に酷い人間はこういう自意識なき蛮行者だ。

「小さな箱に押し込められて、僅かな光しか差してこない。光が届かない人もいる」
女教師のアメリカで生きる黒人についての台詞だ。
彼女は人為的に光の届かない人を選別し、ある種の象徴仕立て上げ、その他の黒人をすくい上げようとしていた。恐らく15年間。
ルースはそれに反目した。目の前の仲間を守りたいだけだった訳だが、彼女を排除出来た後、結局は皆が望む生徒像のスピーチで幕を下ろした。ラストの彼の表情、結局はこの小さな箱から逃れては黒人は生きていけないのか。脱したいけど脱せない、行き場の無い感情が溢れ出ていたのが印象的。

この手の映画にありがちな、「彼は良い人?悪い人?」という二元論的な話ではなかったのが面白い。
それゆえか結局は彼が仕組んだ事かどうかの映画的根拠、映像での根拠があまりなく割と最後の方までどっちにもひっくり返せる余白があったけど、あの廃小屋でのビクトリーセックスで全て物語っちゃうのね。

ただ気になるのが、主人公であるルースの劇中での表情。
彼が仕組んだとしては、やけに本気で心配したり驚いたりしていたような。
ルースの芝居、と言えばそれまでだが、ああいう劇中での猿芝居ってそれがお芝居である根拠を何処かで写さないと実はちゃんと成立しないんじゃないかな。
つまりそこから発展して考えるに、ルースは演技なんてしてなくて終始本当の感情を表情に出していたのでは。
それが彼の特殊な出自故なのか、アメリカ人として生きていく上で得た何かなのかは知らんけど。
そうでなかったらまんまと教師を体良く排除したのにわざわざ家まで花束持って行かなくない?
成り行きで討論じみた事になったが、それが目的なら落書き見た時のあの表情とかやっぱおかしいよね。
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