磔刑

アラビアンナイト 三千年の願いの磔刑のレビュー・感想・評価

3.0
オススメ度☆☆
オシャレだが中身の無い作品。
メインの魔神と人間の恋模様だが尺の3分の2は魔神の身の上話で2人のロマンスに物足りなさを感じる。しかもロマンスにも特別感はなく率直に退屈。
エンターテイメントとしての満足感の低さ教訓の程度の低さも御伽話レベル。
<以下ネタバレあり>








なんかすごいフワッとした話。

まず一時間以上ジンの身の上話を聞かされると思わなかった。
というか、このパートが長過ぎたのでむしろこれが本編なのか…と思ったのだがそうではなく、主人公とのロマンスがメインだった…。

ジンの身の上話はそれなりに興味を引く。でも主人公は置いてきぼりだし、その間主人公とジンの関係性に進歩がないのでそのあと恋仲になられても全然感情移入できない。
主人公がジンに己の孤独を重ねたのは分かる。でもその表現が一方通行だ。互いのキャラクターのアクションで2人の関係性の類似点や相違点を映画的に表現するのではなく、それとは真逆の口述なのでドラマティックに感じられず退屈に思えた。
しかもそれはジン側の話だけで観客が主人公に感情移入する理由は描かれないので、主人公のようにジンの孤独に深く感情移入することはできない。

2人のランデブーにも特別感も危機感もない。せいぜいロンドンの喧騒による若干の苦痛に悩まされる程度で障壁にしては弱いので恋模様も全く燃え上がらない。

ジンは今までには無い唐突な病気?設定に倒れ2人の関係は悲恋に終わる。
本当に残り15分ぐらいで駆け足でエンディングに向かったので、打ち切り漫画のような印象を受けた。まぁ『風と共に去りぬ』的とも言えるが…。
ジンの物語は壮大なのだが主人公との関係にはスケール感も特別感もなく、その高低差に監督も落とし所が見つからなかったのではないのかなぁと思った。
結局3つの願いの設定も生かし切れてないし、ジンの結末や2人の関係も中途半端。
絵とイドニス・エルバの雰囲気だけは良いのは確か。

美しい装飾が施された空っぽの瓶のように何とも言えない空虚な作品である。
磔刑

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