磔刑

インソムニアの磔刑のレビュー・感想・評価

インソムニア(2002年製作の映画)
3.0
オススメ度☆☆
ノーラン監督のブランド力を加味しても見る価値は低い。
ノーラン節はほぼ無くスリラーやミステリーとしても平凡で独自性も乏しい。
眠れない主人公に反して観客は非常に眠くなる不思議な映画。
<以下特にネタバレなし>





やりたいことは分かるんですよ。
不眠症は悪徳刑事の罪悪感のメタファーで安眠とい名の贖罪を求めているのは。

でもミステリーとしても興味深くもないし、スリラーとしてもスリリングでもない。事件自体も猟奇性や独自性に欠け、キャラクターも特段面白味がない。
ノーランは良い意味でも悪い意味でも割と作家性は淡白なのは間違い無いんだけど、今回は悪い方向に傾いたんじゃないかなぁ…と。

監督の他の大作系は斬新な映像で作家性や独自性を出すことができている。しかし今作のように地に足のついた現実の重みが強すぎる今作はノーランの作家性的に向いてなかったんじゃないかなぁ…と思う。
そういう意味ではギミックやガジェットに頼った作家と言える。唯一『ダークナイト』だけはキャラクターが突出して、テーマ性が高い。

あと、細かいフラッシュバックが多くて安っぽい印象を受ける。
前作のように物語の確信への伏線のつもりなんだろうけど、毎回同じ映像の使い回しだから途中からただの退屈な絵になっている。しかも話が進行してもフラッシュバックの意味が深まる訳でも無いので小出しにする必要がない。

すんごい昔に見たけど一切記憶に残って無かったけど、唯一アル・パチーノの眠そうな表情だけは覚えていたが、3日もすれば同じ印象に落ち着くと思う。
磔刑

磔刑