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ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

3.9
カンバーバッチがとにかく素晴らしい。
20歳くらいから老年までの、ルイス・ウェインをすごいチャーミングに見事に演じている。
彼の猫の絵はネットで見て知ってたくらいなんだけど、こんなに魅力的な画家さんなんだと、すごく不器用で変人なルイスが好きになる。
やっぱカンバーバッチの独特な顔の造形から醸し出す雰囲気が唯一無二。

私が生まれる100年くらい前。
絶対に一家の大黒柱タイプではないのに、父の死により20歳そこそこで妹5人に母親を養わなければならなくなる。
全然うまくできないんだけど、家族にはとても愛情があって常に自分なりに一生懸命向き合っているのがえらいなーと思った。

当時は男性に対する、家族を養わなければというプレッシャーはすごかっただろう。兄にばかり頼らず、妹も働けやと思ったけど、女性にはなかなか仕事がない時代なんだよなー…と。

ルイスが恋に落ちる相手がまた最高だ。
10歳は歳上の、のちに妻になるエミリー。
若い令嬢と結婚するのが当時の一般常識。
そんな常識にとらわれず、自分達の心に素直に生きるウェイン夫妻が素晴らしい。
とても可愛らしい夫婦で憧れる。
短い結婚生活だったけど、そんなに心を通わせることができる相手に出会えたことは幸せだなーと。
妻が亡くなるシーンの演技にはぐっとくる。

また猫のピーターをはじめ、登場する動物達がかわいくて癒される。

不幸が重なり心を病んでいく老年の演技がまたすごかった。
話し方とか本当に老人なんだよな。

妻エミリーがいたから、猫のピーターがいたから、ルイス・ウェインの猫達は生まれた。
ルイス・ウェインの独自の視点があったから、現代に通じる猫達の新たな文化が生まれたんだと思うと感慨深い。

あと、セットの美術や映像がそれこそ絵画のように美しく、少しおとぎ話めいた世界観に引き込まれた。
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