滝和也

禁断の惑星の滝和也のレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
3.6
古典SFの名作を…

SF特撮物を哲学的
かつ観念的に押し上げ
SWや日本アニメにも
大きな影響を与えた
クラシックの名作…

「禁断の惑星」

23世紀。人類が銀河を越え、他の惑星へと移民する時代。ある惑星の調査団が連絡を絶ち、調査のため軍の部隊が向かった。その惑星の名はアルテア4。星に近づくと調査団の一員モービアス博士から連絡が入り、着陸してはならないと警告してくる。彼を説得し着陸した彼らだが、そこには博士、その娘アルタ、ロボットのロビーしかおらず、他の人間は何者かに殺されていた…。

これが古典であるスター・トレックより更に10年前の56年の制作と言うのに驚く。スタトレで描かれている宇宙、宇宙船内、異文明の建造物などはこれが元かと思われ、センスも同じレベル。※宇宙船はアダムスキー型なのでそこは…ですが。音楽や舞台、特撮も6~70年代の作品と変わらないイメージで、しかもカルト的人気を誇るロビーに至っては造形が今見ても素晴らしい。

ロビーに関してはアシモフのロボット三原則の定義が当てはめられ、その存在はSWのR2に影響を与えているらしいし、造形部分は日本のウルトラセブン、地底GO!GO!GO!に登場するユートム、宇宙戦艦ヤマトのアナライザーが間違いなく影響されていると思われます。

また登場するイドの怪物、それに端を発する先住異文明の存在に関しては、富野由悠季監督の名作伝説巨人イデオンがモロに影響されているし、怪物の存在はある種、哲学的であり、観念的なもので、そのアイデアは後のSF作品の世界観に大きな影響を与えていますよね。ある種ぶっ飛んだ理屈や裏付けがサイエンスフィクションにリアリティを与えると言う先駆けかもしれないです。

娘のアルタの衣装も後のSFへの影響は大とおもわれますが…彼女に限ってはそれより、あまりのノーブルな美しさに…見とれてしまう。軍人さん達が皆さんヤラれてしまうのもわかります。アン・フランシスの強烈な魅力、これもこの作品の魅力でしょうね。

まぁ、静謐な惑星を舞台にしていますし、怪物もあまり姿を見せない(訳はあります)し、ストーリーも舞台説明に半分位時間を使うので派手さはありませんが…やはりその存在意義を考えるとなかなか深いし、見ておいて損はないですよね。イデオン好きな方はオチがわかってしまう部分があると思いますが…。

特撮SFの先駆者であるクラシックの名作。お暇なときにでも(^^)
滝和也

滝和也