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1917 命をかけた伝令のtetsuのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.1
去年、IMAX vs 4DXという形で2作品のレビューを挙げたところ、中々リアクションが良かったので、今回は、
"IMAX vs Dolby Cinema"
と銘打って、それぞれの長所と短所を徹底比較!!
アカデミー賞にノミネートされた2作品をIMAX(『1917』)とDolby Cinema(『フォード vs フェラーリ』)で見比べることにしましたので、まとめてみました!(そちらは最後にのせてます。)

と、まずは感想から。

第一次世界大戦の真っ只中。
二人の兵士・スコフィールドとブレイクは、前線への攻撃中止命令を伝える重要な任務を引き受けた。
タイムリミットは明朝。彼らは敵陣を潜り抜け、無事、多くの兵士達を救うことができるのか...。

映画誕生から125年。
早創期の映画は観客の感覚を刺激するという意味で「アトラクションの映画」と評されたこともあるそうですが、本作こそ、その最先端。
ワンカットの連続から生み出される驚異の緊張感が、見事に主人公の旅路を追体験させてくれる戦争映画の秀作でした!

公開前こそ「全編ワンカット」という宣伝文句が「詐欺だ!何だ!」と取り沙汰されてしまった本作。
確かに本編を観ると、あくまで"全編"ワンカットであって、"110分"ワンカットではないため、語弊がある宣伝だったことに異論はないのですが、そう思ったから観ないという選択肢は、是非、避けてほしい...。

実際、観たら分かりますが、
ワンカットの繋がりは自然すぎて、ほとんど分からなかったですし、その手法があまりにも見事すぎるので、僕自身は途中からワンカットがどうかなんて気にならなくなるほど、物語に熱中してしまいました。

また、素晴らしいのは、
ワンカットという手段が目的にならず、しっかりと作品のメッセージを伝えるために機能している点。

クライマックスに訪れる全力疾走シーンには、観客として行動を共に追ってきたからこその感情の高ぶりがありましたし、これまでの積み重ね、経験が、まるで回想シーンの様に頭の中で反芻されていました。

たとえ、何が起ころうと、
大切な人のために走り続ける男たち。

彼らの「生」への執着が、シンプルな展開で伝わってくる本作。

一見、地味に見える物語ではありますが、全てが終わった後、この物語の"本当の主役"は誰だったのかを考えれば、また、違ったものが見えてくる作品だと思いました。

参考
「1917 命をかけた伝令」IMAX 特別映像
https://youtu.be/PtocifXOfDI
(IMAXはこんなに違う。)

"全編IMAXカメラで撮影" の落とし穴 - 気晴らし細論
http://kibarashisairon.blog.fc2.com/blog-entry-136.html
(IMAXの画角に関する問題を、ある程度まとめてくれています。)

【ネタバレあり】ワンカットでWW1の戦場を駆け抜ける映画『1917 命をかけた伝令』。どうやって撮影を成し遂げたのか、ロジャー・ディーキンスにインタビュー | ギズモード・ジャパン
https://www.gizmodo.jp/2020/02/1917-roger-deakins-interview.html
(労力がすごい。)

驚異の映像体験?!『1917 命をかけた伝令』(2019)の評価の解説と作品の考察【あらすじ、感想、ネタバレあり】 | MINORITY HERO |マイノリティヒーロー
https://minority-hero.com/cinema-review/1917/
(寄稿させていただきました!コチラでは、より詳しく本作のテーマについて執筆しています。)

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IMAX vs Dolby Cinema~IMAX編~

というわけで、今作のIMAXの長所・短所を箇条書きでまとめさせていただきます!!

以下、IMAXを事前情報なしで楽しみたい方、本編を観ていない方、ネタバレ注意です!


・基本情報

[劇場]
109シネマズ大阪エキスポシティ

[値段]
2100円
(大学生料金1500円+追加料金600円)

[特徴]
縦長のスクリーンゆえに通常の映画館とは異なる没入感。観客を取り囲むように配置された5つのスピーカー。目をみはる高画質映像など。
(また、エキスポシティでは、日本最大級の巨大スクリーン、4Kツインレーザープロジェクター、12ch次世代サウンドシステムが設置。)

・長所

本作は全編がIMAXフルサイズ(1.90:1)のため、没入感がすごい。
※現在、フルサイズで観ることのできる"IMAXレーザー/GTテクノロジー"が導入されているのは、109シネマズ大阪エキスポシティ、池袋グランドシネマサンシャインなどに限られています。

静寂と爆音のメリハリゆえに、他の映画館では味わえない緊張感が体験できる。

・短所

IMAXのナビゲーション映像が二回あるため、少しクドイかも...。

突然、音が鳴るシーンなど、心臓の弱い方は覚悟した方が良い。

音響が素晴らしすぎるがゆえに、少しの音でも気になってしまう。
(今回の鑑賞では、上映機材なのか周辺機器なのかは分からないですが、終始、動作音が聞こえていて、音がなくなるシーンで、少し気になってしまいました。)

急傾斜のため、足腰が弱い人は、移動が危険かも。

・雑談
初IMAXを『ダンケルク』で経験して以来、その当時と同じ感動や衝撃を受けなくなったというのは事実ですが、今回は『ダンケルク』唯一の引っ掛かりであった画面サイズ問題が解消されていたのが、良かったです。
全編ワンカットという作品構成上、途中で画角が変わってしまうと命取りな本作。だからこそ、ずっと、変わらずフルサイズのスクリーンのままであったことには、大きな感動がありました。

・まとめ
様々な上映形式が出来た今となっては、音響に関して、さほど他の映画館との差別化は図られていないように思いますが、フルサイズで観る映画体験は格別。全編フルサイズの作品も、中々ないので、本作は可能な限りIMAXレーザー/GTテクノロジー導入劇場で鑑賞していただきたいです。

・勝敗
音響の点では、DolbyCinemaとさほど変わらないが、フルサイズで撮られた作品は確実にIMAXで観るべき!!
よって、引き分け。笑

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