みや

ハリウッド 1969 シャロン・テートの亡霊のみやのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1969年8月、映画監督と結婚して妊娠中の新進女優・テートが、恐ろしい連中に襲われる悪夢を見て魘されるようになり、実際にカルト集団に殺害されるサスペンス。

シャロン・テートは、映画監督であるロマン・ポランスキーの奥さん。1969年にマンソン・ファミリーたちに刺されて、26歳でお腹に居た子と共に亡くなった実在の人であり、実話である。
これが実際にあったなんて当時の人は驚いただろうな。現代の私から見ても衝撃的すぎる。
『ローズマリーの赤ちゃん』『吸血鬼』『戦場のピアニスト』など監督の作品をいくつか観ていたことで、全く縁遠い別世界の出来事ではないのだと感じたことも大きい。

彼女たちを襲うチャーリー側についてはほとんど明かされず、だからこそ何も分からないままに殺された彼女たちが感じたであろう恐怖を(言い方は悪いが)追体験できる。マンソン・ファミリーについてはまだ勉強過程なので、他の映画や小説で補っていきたい。

事件の数日前から不穏なことがあったり、家に居る友人たちとの微妙な関係性だったり、どこまでが実話なのかは分からない。だが、結果として起きたことには変わりなくて、そこを意識する度に何度も鳥肌が立つ。
逆に、実話だということを意識しないと物足りないかと言えばそんなこともない。見知らぬ集団が敷地内に入ってきたり、おかしな音楽を送り付けてきたり、じわじわと忍び寄ってくる恐怖が陰湿だからこそ怖い。
殺害描写もスプラッター的グロさは無いのだが、すごく生々しくて、ゾワゾワした。とてもいい。

この映画を撮ったのは全く別の監督で、夫のポランスキー監督や遺族たちがどのように関わっているのかは分からない。被害者たちをあまり良くは描いてないし、死を悼んでいるようにも感じられなかった。
映画としては面白かったものの、他の実話サスペンス映画に比べて、不謹慎な印象を強く受けたのはなぜだろう。そもそも実際に起きた事件を映画にして楽しもうという考え自体が不謹慎なのだから、私のような視聴者にこのように感じさせるのは逆に正解なのかもしれないけれど。
みや

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