むぎたそ

私のちいさなお葬式のむぎたそのレビュー・感想・評価

私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)
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こういうのすき!
おかしいけど、じわじわかなしいの……。
ユーモアとペーソスの塩梅がね……。
ユジク最終日朝10:20も満席(25席)だったわ。。
けっこう私は笑っちゃったけど、あんま周りの人は笑ってなかったな、やっぱり死が絡むからかな。。
予告編の感じから、どういう流れで生前葬やるのかな?(生前葬だったらなんか普通の感じだけど)って思ってたら、ああ、そういうことか。ってか、生前葬じゃないし。。息子を思うゆえにか。。せつない。。
なんか不器用で見るからにうまくいってない人たちがたくさん出てくるのが愛おしい……。
息子もいかにも都会で勝ち組感出してたけど
あまり幸せではなさそうだし……。
息子があまり寄りつかないのはかつてナターシャ(現DV男持ちのアル中女)との恋を母が引き裂いたからか……。
母も息子の成功というかせまい村社会からの脱出を思ってやったことだけどうまくいかんね。すれ違い。
息子が来てくれないのはさみしいけどなんだかんだ母は幸せな人生だったと思う。
友達も近くにいるし、結婚人生も幸せだったし、息子も生まれたし、教師として仕事も充実した感がある。元生徒たちに慕われ、ペットもいる。
おばあたちの友情ぶりがよかったな。特に隣の一見怖いおばあ。つっけんどんぽいけど人情に篤いって、わかりやすいけど、こういうキャラ大好き。孫もバイクのサイドカー乗せてくれてええやつやん。
おそらく元国語教師の教養高い母。いちいち、詩を誦んじたり、魔女狩りなどの歴史や海外の尊厳死の事情などにも通じている。母が会いに行く生徒たちがだいたい母に教わった詩を誦んじるんだけど、いかにロシアの市井に詩というか文学が根付いてるかということが伝わってきたね。一般教養として、というか生活の中に詩が根付いてるっていいなあ。中国とかもそうだけどさ。
ロシアでカバーが大ヒットしたというザ・ピーナッツの「恋のバカンス」が、おばあが死ぬ前に最後だからと化粧とワンピースをバッチリ決めてレコードかけながらダンスするシーンのみならず、他シーンやエンディングなどもめっちゃメインで使われており、耳福であった。ロシア版のレコードほしいなー。たくさん売られただろうし、割と手に入りやすいかな?歌詞が日本語のより詩的で情景がおしゃれな感じだったよ。
あ、キーモチーフの鯉がとってもいい味出してました。ピチピチ。奇跡が起こるなら、と、おばあちゃん死ぬ診断間違いかと期待しそうになってしまった……。
車のキーを飲み込んだ鯉を思い切って放流した息子、村に戻るのかしらね……。都会で儲けてそうではあったがなんか拝金主義っぽい胡散臭そうなセミナーの仕事だったしな……。
母のファッション、おしゃれだったな。ベレー帽、ニット、ネグリジェ、よそ行きのワンピース(一張羅?死装束?)
親と子、迷惑をかける/かけない、もそうだけど、ちょうど今悪い意味で話題になっている安楽死や尊厳死のことも出てきて、なんだかいろいろ考えたくなる映画……。

友達って大事だなあ。

もっと親に顔見せに行こうかなと思った。
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