新潟の映画野郎らりほう

マトリックス レザレクションズの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

1.5
【 Reflections 】


レザレクションとゆうよりリフレクション(反射/鏡映)。

頻出する“鏡”への映り込み。手を翳し無数の銃弾を“跳ね返す”リーブス。水面に映る“反像”の揺めきをファーストカットとしている事からも、第一義的主題である事は容易に諒解出来よう。

無論“鏡”は、勇気の欠如や 盲目惰性的常識至上主義に陥った私達が選ばなかった もう一つの平行可能性世界〈選択肢〉であり、民主×資本主義への疑義をはじめとして 広義狭義種々様々な常識への疑符を立ち上がらせている。


鳥の中で唯一すべての色を一つの生き物として持つ孔雀。LGBTの象徴であるレインボーフラッグ〈虹〉への言及。女性の覚醒 等、いまだ我々が捕らわれ続ける現代社会常識への激しい唾棄が漲っている。



〈追記〉
しかしながら『スターウォーズ』をはじめとした現ハリウッド大作のリブート/リメイク/続編の類いは、総じて『多様性に配慮し 女性の活躍度を上げて』といったものばかりであり、テーマ的には 本作も単に『現社会時流に同調=洗脳されただけ』と映っているのが皮肉である。



〈追々記〉
社会や世界、常識に対する疑符といった主題はイーストウッド的ではあるが、イーストウッドが 言葉も用いず 一人立つ姿を ワンカットで映すだけで 表現する事を、本作は 上映時間2時間半の内 説明に2時間費やした印象で辟易する。

無数の銃弾に晒される男女。2人乗りの自動二輪とそれを追うヘリコプター。何れもイーストウッド「ガントレット」的だがアクションの強度は言わずもがな。
それもこれも アクションを軽視/御座なりにし、四の五の説明/弁明に明け暮れた(実際にラストは夜明けである)所為であろう。

至高のアクションに連動しロングコートの裾端が靡く ― アクションのみならず それを捉える技術、そして衣装デザインに至る迄 徹底した配慮が漲っていた「マトリックス」に比べ、本作は前述の「ガントレット」は疎か フォロワーである「ジョンウィック」更には高速度撮影下に於ける裾端を靡かせたアクションで「ちはやふる」にすら及んでいない。




《劇場観賞》