新潟の映画野郎らりほう

グッバイ・クルエル・ワールドの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

3.2
【絶望の行き止まりと無限の自由】


ホテルエントランスで吐瀉嘔吐する玉城ティナ。
その後のカットで彼女は外階段に着座し、画面左手に起立した宮沢氷魚とのツーショットで捉えられる。
金を手にし 家を借り かき氷云々の談笑を二人がしている時、それまでツーショットの“引き”でフレーミングされていた彼女達に キャメラが徐々に“寄り”と為り 心の接近を可視化する―。

上記の様な“構図で伝える”ショットに乏しく、映画の大部分は 人物表情極大接写に終始する。
西島秀俊の瞬時豹変等 それが吉と出ている場面もあるが、それも引き画を欠いていては効果も半減であろう。



コンプライアンスを免罪符に 差別誹謗排斥に盲目的にひた走る“市民連”や、“同一化する邪と公”等、私自身既に倦厭唾棄している この『狂える世』に、“good-bye” が出来る彼等をどこか羨ましく思った。

最終極 ― 彼等の背後後景一面に拡がる水面は、絶望の行き止まり( Dead end /生き止まり)であると同時に、無限に拡がる自由でもある。




《劇場観賞》