新潟の映画野郎らりほう

Zolaゾラの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

Zolaゾラ(2021年製作の映画)
3.0
【尻拭い】


レストルーム。横並びの個室に 二人の女が着座し排泄行為に及ぶ。
キャメラは上方からその様子を捉えるが、ゾラ(ペイジ)が自身の陰部を聢と払拭するのに対し、隣室のステファニ(キーオ)にはその形跡が無い。

つまり、自分自身でケツを拭く者〈自己責任/自己屹立〉と、自分ではケツを拭かない=他人に尻拭いさせる者〈無責任/他力本願〉との差違表現が為されているわけだ―。

場面表現が巧いかどうかはさておき、趣意/意図は伝わろう。
男共と白人の汚い尻拭いは、全てアフロアメリカン/女性に漏れ無く押し付けられる。そしてそれが即時的現時流であるだけでなく、昔から何等変わっていないとゆう事実。
本作が紛れもなく現代を舞台としながらも、そのルックが どこか’60年代的であるのはその為だ。

現代ツール:スマホの登場を除いてしまえば、作風 / 構造 / 主題系 全てが’60年代的古臭さであり、それはそのまま現代社会が当時から唯の1ミリも進化していない事の暗喩である。




《劇場観賞》