るるびっち

マトリックス レザレクションズのるるびっちのレビュー・感想・評価

2.5
この22年で一番驚いたのは、監督のウォシャウスキーが兄弟から姉妹に変わったことだろう。
映画は、それを超える驚きはなかった。
兄、いや姉一人だけならまだしも、弟まで妹になるなんて・・・
『マトリックス』の新しい世界へ踏み出すというのは、新しい性別に踏み出すということだったのか‼
赤か青かのカプセルは、女か男かを選ぶということだろう。
今のままなら、青いマークの男子トイレへ。
真実の世界に踏み出すなら、赤いマークの女子トイレへ。
(トイレを色分けしてるのは日本だけかな?)

マトリックスがLGBTQ批判というのは、見当外れも良いところだった。
作者の思いを超えて、観客の自由に捉えられるのが映画の面白さであるが、真逆の思想に利用された悲しさがあった。
今回はネオだけでなく、相棒のトリニティも解放している。
二度と男性本位のマッチョ映画と誤解されないように。

結局、マトリックスの世界にがんじがらめに囚われているのは、ネオでもトリニティでも作者でもなく、ファンではないか。
ファンたちはいつまでも新作を期待し、しかもあくまで今までの延長線上であることを願う。
全く違う方向からのアプローチをファンが受け付けないのは、『スター・ウォーズEP8』で証明された。

メタ構造で面白がらせてはいるが、それって既に作ったパズルをイジっているに過ぎない。
もう二度と、未知の体験をすることはない。
視点を変えて捉え直す程、却って閉じられた世界に埋没することになる。
決して開かれた世界に行ける訳ではない。
赤いカプセルを幾ら飲んでも不可能なのだ。

画期的なのは一作目だけで、その後は前作の世界を反転したり、再構築しているに過ぎない。
一発目に打ち上げた花火を超えることはない。
逆に言えば、それ程見事な花火だったということだ。
これ以上、新しい物語や未知の世界を願うのはムリゲーなのだ。
エヴァ同様、ファンたちが卒業する時期が来たようだ。
一番作り手に嫌われているのは、留年ばかりしているファンたちなのだから。
古いイメージに固執しているファンを抱えたままでは、クリエイターは空を飛べないのだ。
皆も華麗に飛ぶべきだ。
明日から、あなたは姉妹に、君は兄弟に。
目覚めよ!!
るるびっち

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