るるびっち

ノイズのるるびっちのレビュー・感想・評価

ノイズ(2022年製作の映画)
3.8
いっそ喜劇に振り切った方が良かったと思う。
新産業で盛り上がる過疎島で、迷惑なノイズ男を誤って殺害。
死体隠しで、三人の仲間が四苦八苦する。
隠す側と警察の戦い。
だが途中で死体が増加し、島民多数による隠蔽の流れになる。
ここら辺の扱いが中途半端なのだ。
死体が増えるのは意外で面白いのだが喜劇的だ。
更に島民が次々隠蔽に参加するのも喜劇的。
なのにシリアスにするから、茶番に見えてしまう。
喜劇に振り切った方が、風刺として面白くなるだろう。

次々状況が変わるのは面白いが、喜劇的な面とシリアス面の喰い合わせが難しい。
個人的には、状況の変化を楽しんだ。
そっち行くんだ? え、またそっちに切り返すの?
と、味わいを乗り換える大胆さに感心した。
人によってはテイストが変わるので、失望感あるかも。
死体が見つかるか否かで進むので、裏切る為に意表を突き、島育ちの環境を活かした人間関係に落とし込んだ。
しかし、ラーメン味わうところにカレー出されても・・・
(また庶民的な食べ物で喩えてしまった!)
もとい、キャビアを味わうところにフカヒレ出されても。
(頑張って捻りだしました。味は知りません💦)
後半、仲間三人に起こる悲劇は日本的な暗さがある。
そこにスポットを当てたイヤミスに収斂する。
果たして喜劇性とイヤミスがマッチングするかどうか。

個人的には隠す側と警察と、観客がどちらを応援するかに関心あり。
殺人犯を応援するのは倒錯的だが、そうした感覚こそ新感覚ミステリーの名に恥じないものだろう。島民側を応援して、警察の裏を描く喜劇に振り切って欲しかった(好みの問題)。
だが自殺者の多い日本では風刺喜劇より、イヤミスの方が受けるのかも知れない。
世界でなら風刺喜劇の方が受け入れやすい。
日本好みのイヤミスで終わったところが、むしろ風刺的。
日本全体が、イヤミス好きの閉鎖的な孤島だと風刺しているのだからww
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