パケ猫パケたん

街の上でのパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.5
演劇の聖地、下北沢を舞台に、モラトリアムな大学生(若葉竜也)の甘い恋愛模様な日々を描く。

まぁ恋愛模様といっても、ドロドロの四角関係とかでは、なくて、何となく女の子の方から寄ってきて、軽くモテている感じ。

元カノ役の穂志もえか(清楚系美人)、美大生で自主映画監督役の萩原みのり(知的美人)、衣装スタッフ役の中田青渚(関西弁癒し系美人)が、それぞれに魅力的で、若葉竜也が羨ましいぞ。

自然な会話中心で、ほぼ室内で進行する映画は、心地よくも、映画的なダイナミズムに欠けるかも。

ただし、主人公の若葉竜也が、顔立ち、羊の様な髪型、きゃしゃな体型全てにおいて、和製傑作パズル&恋愛アドベンチャーゲームの『キャサリン』の主人公ヴィンセントにソックリで、笑えてしまう。(検索して下さい(^_-))

映画内自主映画の題名も『read in sleep ing』と、羊と睡眠に関する映画みたいだったし、恋愛モラトリアム期間においての淡い三角四角関係も、『キャサリン』みたいで萌えるものがある。

だから、このオリジナル脚本映画は、ゲーム『キャサリン』の今泉力哉監督流の、斬新な再構築映画と考えると、其なりのアートになって見える。

ヴィンセント?と中田青渚の、ロングテイクで撮られた長い会話は、自然で、面白くて、落語の様な味わいがある。しかし、今日の世界政治やコロナ禍の状況に於いて、こんなのほほんとした、モラトリアムな映画でいいのかな、とも思ったがまぁ否定まではしない。

モラトリアム期(映画)からの脱出、それは、最近大成しつつある、成田凌の登場や、熊切和嘉監督(『私の男』(2013))や、城定秀夫監督(100本のピンク映画と、『アルプススタンドのはしの方』(2020))への言及と、意識はしていることが、存分に伺える。