このレビューはネタバレを含みます
既存の映画のカットをかき集めて、監督がアルザスの田舎で過ごした終盤の期間を振り返るお話。カットが使用された映画は一作品しか気付けず。
モノローグに集中しないとすぐ置いていかれそうな作品で、集中しているうちに各カットがこの映画の一場面と感じられた気になりました。
とにかく暗い。田舎の保守性を厭い、都会の進歩派にも白々しさを感じ、さりとて何をするでもなく、とにかく内省的厭世的で、そんな自分のことが許せないという自虐性に溢れて、病んでますねえ、ということがかなりよく伝わる内容。
カット割りはかなり面白く、見入ってしまいました。モノローグと映像、どちらが先だったのか気になります。
モノローグは内省的なせいか示唆に富むような表現も多く、日記を自慰と自己弁護として捉えてるところなんかは面白かったです。
これだけ陰鬱な語りの映画なので、今どき当たらないのは確実な気がしますが、面白い試みをしていて、とても楽しめた作品でした。