リコリス

カーラ 黒い砦の闘いのリコリスのレビュー・感想・評価

カーラ 黒い砦の闘い(2018年製作の映画)
4.9
モディ首相がトランプ大統領を招くために、スラムにレンガ壁を作らせてるニュースを見て、これを強烈に見たくなる。「ガリーボーイ」もダラヴィのスラム生活を隅々まで見せてくれるが、こちらはもっと苦い。

日本の任侠物のように、反近代で貧しく持たざる者の住む土地を、近代化を名目に悪徳政治家が奪い潰そうとする。そこに我らのスーパースター・ラジニー(彼も貧困者・被差別女性を支援する社会活動をしているそうです)。最期は、伝説のジジイになって敵に立ちはだかる。

暴力には暴力、メディア支配には正義の言論、宗教・経済的差別や弾圧には多様性への寛容と互助、恐怖には連帯愛。

この任侠地元親分が、若い頃に奪いさられた恋人や、近代化に眩んだ息子らを味方に付け、ラップの若者たちが民の声を歌い、ラストの爆発する色彩のシーンに。

本当に素晴らしい映画なのに、広く公開されないのは、今のインドへの忖度? 監督はアンベードカル師の流れを引くそうです。「パラサイト」のように、アクション任侠映画、またはラップなど最新インド音楽、スラムドキュメンタリー、社会派・貧困開発問題から宗教対立問題、セピア調ロマンスから深い家族愛(ああ、肝っ玉母さん…)まで、全てぶち込まれていて、見終えた時、「凄いものを見た」脳内情報処理が追いつかない感動(というか、ぶちのめされた感)があると思います。

何とか、普通に大画面で上映してもらえないでしょうか? 最後の爆発色シーンは、S宿ピカ✖✖✖あたりなら絶対に映える自信がありますよ(とエラソーですが、近隣に美味しい本格カレー屋が点在するKネカ✖✖✖✖さんも、ありがとう)
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