カーラ 黒い砦の闘いの作品情報・感想・評価

『カーラ 黒い砦の闘い』に投稿された感想・評価

タミルのスーパースター、ラジニカーント主演の映画。

黒 という色の使い方がすごく印象に残る映画だった。

この映画では正義が「黒」、悪が「白」を身に纏っていて普段のイメージとは真逆。

でもそのイメージはこちら側が勝手に作り上げたもの。

スラムに暮らす人々は世間のイメージでは「黒」、政治家、裕福な身分の者は「白」。

確かにそうだ。

しかしこの映画では真逆となる。

圧巻のラスト。

白は黒く塗りつぶされてそして赤へ…

オープニングにはやはり「スーパースター」の文字が流れるがいつものように軽快な音楽ではなく重々しい音楽の中流れる。

この映画の決意、メッセージみたいなものがそこから感じ取れた。
Baad

Baadの感想・評価

4.1
年明けに神戸でのIMW(インディアン・ムービー・ウィーク)2019で鑑賞。

タミル語映画が苦手な私には例外的に面白かったラジ二映画でした。

まず、舞台が『ガリーボーイ』と同じくムンバイのスラム、ダラヴィ。

そこに移住してきたタミル人改宗仏教徒のコミュニティのボスを演じるのがラジ二。

ラジ二と敵対する高カーストの政治家を演じるのが、ナーナー・パテーカル。

ラジ二の元婚約者の社会運動家にフマー・クレイシー。

ダラヴィの土地の権利をめぐる血みどろの争いが描かれるかなり真面目な社会派映画です。

プロデューサーはラジ二の娘婿のダヌシュ。攻めた脚本で驚きましたが、演技やダンスだけじゃなく全てに有能なんでしょうね。

キャストや舞台がボリウッドのあるムンバイであることからも想像できるように、映画はけっこうボリウッド風。でもラジ二のカリスマ性はうまく利用していますね。

ずっとマードゥリーに似ているな、と思っていたフマー・クレイシーは劇中でマードゥリーにそっくり、と言われてますね。ダンスを除く演技力ではフマーさんのほうが優れていると私は思うのですが。

同じスラムが舞台で方向性が違う映画を2本見ましたが、根っこのところは類似していると思いました。

(異色のラジ二映画@ダラヴィ・スラム 2020/4/11記)
field

fieldの感想・評価

3.6
これも追加されてたか。久しぶりに観賞。
ランジット監督の前作カバーリでもダークな役柄に痺れたが同じ非スーパースター映画。前作よりビターでエンタメ性を排した社会派。ドス黒い程黒く、重厚感があってアクションさえも抑えた非でありながら、やはりスーパースター映画。監督が格好良いと思う新世代のラジニ像が渋過ぎる。

インドに於ける歯車、スラムに住む都市貧困者と大物政治家との土地所有権争い。ピュアムンバイなんて聞こえはいいがその実、景観を損ねる名目でビルを建て施設を作り、力のある者だけで搾取しようとしてるのは明白で大物に靡くカーキ色の警官も同じく根回しや賄賂、邪魔者の排除が公然と行われてる。作品内でもネットへの拡散を武器としてるが人々の目に留まるのはほんのひと握りで金があれば巻き込まれたくないと出て行こうとするのも当然。更に貧困を呼び時には犯罪の温床になってしまう場合も多々あるだろう。

そんなスラムの中心、ムンバイのダラヴィで土地そのものが人生だと大物政治家相手にどっしりと構えるカーラが格好良い。暴力では解決しないとギリギリまで抑えたのもアクションを控えた要因だろう。抑圧的な脅しにも一歩も引かずで茶化しながらやり合う空気感が痺れるし、人望の厚さも説得力を増してる。まさにダラヴィの帝王。
冒頭のタミルラップでブレイクダンスに子供たちはラッパを吹くカーラ讃歌にも魂を感じる。

党で躍進中のヴィシュヌのサンパス・ラージさんはプラバース主演ミルチでも攻撃的で怖かったが大物の手先というのもあってやや控えめ。後ろに控える大物政治家ハリのナーナーさんが積極的に潰しに来てるのに狡猾さと知的さが滲み出て深みのある怖さ。カーラの役柄と対抗し得る存在感。

ダラヴィに戻ってきたかつての恋人ザリーナとの懐かしむようなロマンスでほんの少し可愛らしさが垣間見れるスーパースターは良いな。慈善家のザリーナ、ヒューマ・クレシさんは品がある。
ザリーナや息子レーニンと意見の相違はあったが狙われる中で共闘し、世間を味方につけダラヴィ全員で権利を獲得していく。諦め切れない政治家ハリにより消息は曖昧になったが無産階級を意味する黒から宗教さえも超越するように暗め中心の色粉で行うホーリー、その視界の中で生き続けるような締めくくりもビジュアルも格好良い。

前気付かなかったが最初に家族団欒で妻セルヴィの早口な長台詞が淀みなくて地味に凄かったな。
モディ首相がトランプ大統領を招くために、スラムにレンガ壁を作らせてるニュースを見て、これを強烈に見たくなる。「ガリーボーイ」もダラヴィのスラム生活を隅々まで見せてくれるが、こちらはもっと苦い。

日本の任侠物のように、反近代で貧しく持たざる者の住む土地を、近代化を名目に悪徳政治家が奪い潰そうとする。そこに我らのスーパースター・ラジニー(彼も貧困者・被差別女性を支援する社会活動をしているそうです)。最期は、伝説のジジイになって敵に立ちはだかる。

暴力には暴力、メディア支配には正義の言論、宗教・経済的差別や弾圧には多様性への寛容と互助、恐怖には連帯愛。

この任侠地元親分が、若い頃に奪いさられた恋人や、近代化に眩んだ息子らを味方に付け、ラップの若者たちが民の声を歌い、ラストの爆発する色彩のシーンに。

本当に素晴らしい映画なのに、広く公開されないのは、今のインドへの忖度? 監督はアンベードカル師の流れを引くそうです。「パラサイト」のように、アクション任侠映画、またはラップなど最新インド音楽、スラムドキュメンタリー、社会派・貧困開発問題から宗教対立問題、セピア調ロマンスから深い家族愛(ああ、肝っ玉母さん…)まで、全てぶち込まれていて、見終えた時、「凄いものを見た」脳内情報処理が追いつかない感動(というか、ぶちのめされた感)があると思います。

何とか、普通に大画面で上映してもらえないでしょうか? 最後の爆発色シーンは、S宿ピカ✖✖✖あたりなら絶対に映える自信がありますよ(とエラソーですが、近隣に美味しい本格カレー屋が点在するKネカ✖✖✖✖さんも、ありがとう)
Tom

Tomの感想・評価

3.0
巨大スラムの長として土地の権利を叫ぶカーラとスラム街のクリーン化を唄い土地剥奪を狙う政府との戦い。
政治家の象徴である"白"カーラの"黒"がヒンドゥーの"赤"仏教の"青"イスラムの"緑"へと変化し混じり合う終盤の演出が今のインドという国と監督の願いを見事に表現していた。
みかん

みかんの感想・評価

3.5
主人公たちが改宗仏教徒であるというのは、インド人なら見ればわかるのかな?
ほぼ事前知識なしで観たので、圧倒的情報量についていけず残念。でもあまりにもパワフルな進行に引き込まれました。
oto

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4.2
壮絶な現実…自分の無知を自覚。
奥さんが太陽みたいで大好きだったのでとても悲しかった。
レク

レクの感想・評価

3.5
スーパースター・ラジニカーント主演。
白と黒、権力と支持、報復と復讐。
立ち上がる民衆とスラム街を排除する政府の血を血で洗う争い。

貧困層に土地の権利を!
インドの社会問題でもある格差を描いた内容ではあるが、インドのクリーン化という名目で都市部からスラム街を無碍にしようとする政治家による抑圧が凄まじい。

邦題のサブタイトルでもある『黒い砦』はスラム街で生活する人々のことを指し、黒は労働者の象徴。
そんなスラム街を纏めあげる王カーラの存在感ある佇まい、それを鼓舞する若者のラップが心の叫びを上げる。
yooyoo

yooyooの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

IMW公式story
ムンバイのダラヴィ、インドの縮図とも言われる巨大スラムで、王と称されるタミル人カーラ。大勢の子供や孫に囲まれ、大家族の長として平穏に暮らすこの男が、再開発計画をきっかけにその背後にいる宿敵のヒンドゥー原理主義・マラーティー至上主義政治家と対峙する。開発に名をかりた社会的弱者の排除に対抗し、「土地は我らの権利」をスローガンとしたカーラの戦いが始まる。

御大がポーズだけでなく踊っていらっしゃった。もうそれだけで有難い(拝む)
かなりバイオレンスではあったが、ムンバイのスラムの様子とかタミル・ラップとか、興味ある内容だった。
しかし甘ったれた息子の成長物語は何処も一緒。
インド映画版レミゼラブルと言ったところ。
スラム街を一掃しようとする政府に対して、ヤクザの帝王カーラが立ち上がる。


インディアンムービーウィークも7本目。
こちらも、スーパースター・ラジニカーントの主演映画ということで、鑑賞。
ペータッとの同時上映は流石、スーパースターと言ったところか。


個人的に、こちらの方が好きな映画。むしろラジニの中で一番好きかも。
インドのスラム街の問題や、それに立ち上がる民衆など、テーマが社会性あって大きい。

それに加え、若者のラップを交えた音楽が映画とうまくマッチしてる。

かなりレミゼを意識してると思うのだが、バリケードやスラムの空撮などが、レミゼ好きとしてはテンションが上がる。


何より最期の色粉のシーンは圧巻。あれだけでも観る価値あるかなぁと。
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