ましゅー

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のましゅーのレビュー・感想・評価

3.8
12/28(火)。年末年始休みの初日に観た本作が、本年劇場公開作品の最後の鑑賞でした。

自宅ではどうしても、わりと気楽に観れるアクション・サスペンス・コメディ・ホラー・胸糞といった系統に偏りきってしまうので、2時間程度を自分の意志で止めたり出ていかない限り半強制的に拘束される映画館では、それ以外のトーンの作品も比較的好んで観るようにしています。
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本作はそうした傾向に合致した、マジメな😂弁護士もの・法廷もの・大企業の不正に法で立ち向かうといったプロットの実話ベースのお話で、フォローさせていただいている複数の方が、お褒めの作品という事でのチョイスです。
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(以下 公式サイトより抜粋)
無謀とも思える巨大企業との闘いに身を投じた独りの弁護士に光をあてる
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1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが、見知らぬ中年男から思いがけない調査依頼を受ける。ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むその男、ウィルバー・テナントは、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、190頭もの牛を病死させられたというのだ。さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づき始める。デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。しかし強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった…。
(以上 引用終わり)
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むぅ…。
これホントのホントに、ホントの話なんですか?
だとしたらなんて恐ろしい…😨
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デュポンと言えば、アメリカの大企業。
昔はいざしらず、今となっては普段ほとんど料理をしない私でも『テフロン加工』=フッ素樹脂加工のフライパンとか、焦げ付かなくて超便利じゃん!と思ってたのに…。
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もちろん通常使用する限りではなんの毒性もなく危険性はないとの事なのですが、むしろ劇中にも出てきた"PFOA"という自然界に存在しない、人体には有害な物質を、フッ素樹脂製造工程で使用した事・後工程の廃棄物を、危険性を知りながら人々の生活圏内に垂れ流すような真似をしていたというのが衝撃の事実…。
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面白いのは、本来であればデュポンのような化学企業の顧問弁護士として企業を守る立場の人間が、その立ち位置が揺らぐのも構わず市井の人々のために立ち上がるという事。その隠蔽されていた事実があまりに酷く、また悲惨過ぎたというのもあるのですが。
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主演のロブ・ビロット役 #マークラファロ は製作にも名を連ね、その誠実な演技で真摯にこの問題に取り組んだであろう事が、まざまざと浮かび上がってきます。

奥さん役の #アンハサウェイ も、直近の魔女役(観てませんが😅)とは打って変わって、時に仕事に没頭し過ぎて家庭への向き合いが疎かになる彼に苛立ちながらも、しっかりと夫を支える良妻としての派手すぎず、かと言って地味すぎない地に足のついた演技が好感触です。
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何より #ティムロビンス ですよ。
実は出演作をほとんど観てない(あのショーシャンクの空に、すら😩)のですが、最初は化学企業が得意先の弁護士法人の上司として、ロブを煙たがってるのかと思いきや、適当にやり過ごそうとする同僚をたしなめ、超大企業のデュポンに真っ向から対決姿勢を示す弁護士魂を見せるところなど、静かながらも男気溢れるいい人じゃないですか…。
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それにしても、金に物言わせ、ありとあらゆる手を使って、事を揉み消そうとするデュポン=超大企業には憤りを超えて、怒りを感じざるを得ないですね…!

ある時は訴えを最初に起こした老人の家に誰かを侵入させて物色をさせたり、ある時は水道局やマスコミなどを抱き込んであくまで安全性をアピール。
あまつさえ数年をかけて数万件の血液サンプルを調査し危険性が証明された後も、3500人超の被害にあった住民を相手に個別に訴訟を起こし返すという悪あがき…。

私の中でデュポンの名は地に落ちましたよ…😑
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という訳で、当初は地味な題材と思った本作。
いやいやどうして。世界規模の環境汚染にたった一人で立ち向かった、まさに偉人とも呼べる実在の弁護士の、静かながらも熱い…熱すぎる、未だに続く戦いを描く、渾身の秀作でありました。
未だにこのモヤモヤした思いに引きずられたまま、年越しを迎えます…🙁
ましゅー

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